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ホンダの意地と技術を証明したモデル! 90年代に誕生したホンダの高級セダン「ビガー」とは

バイクのニュース / 2024年3月28日 12時10分

モータースポーツ界の生き字引、現役レーサーの木下隆之氏の新連載コラム「木下隆之のヒストリカルパレード(通称:ヒスパレ)」がスタート! 連載第5回目は、FF駆動を採用したホンダの高級セダン「ビガー」を解説します。

■人に愛される車づくりとは

 ホンダは古くから「マンマキシマム・メカミニマム思想」を社是のようにして、人に愛されるくるまを作り続けてきました。

”人間の空間は広く、機械は小さく”

 ホンダのクルマは比較的コンパクトでありながら、居住空間がことさら広く感じるのは、この思想が貫かれていたからでしょう。

FF駆動を採用したホンダの高級セダン「ビガー」(写真提供:ミハラ自動車)FF駆動を採用したホンダの高級セダン「ビガー」(写真提供:ミハラ自動車)

 そのため、駆動方式はFF(フロントエンジン+フロントドライブ)にこだわり続けてきました。クルマの中で最大の重量物であるエンジンを前方の隅に配置することは、室内空間を確保するのに都合がいいからです。

 エンジンが発する出力を後輪に導くには、プロペラシャフトを通すためにフロアトンネルを持ち上げる必要がありますが、FF駆動であれば床の盛り上がりは、マフラーや配線系を通すだけですから最小限に抑えられます。それにより、後席の足元に余裕が生まれるのです。

 NSXやS2000のようなスポーツカーは例外ですが、コンパクトモデルから高級セダンまで、FF駆動方式が基本とされてきたのはそれが理由です。現代の4WDモデルもFF駆動方式の派生系になります。

 ただし、FF駆動にはデメリットもあります。高級な走り味を生み出しづらいのです。

 けして軽くないエンジンを前方の隅に追いやった結果、前後重量配分が悪化します。操縦性の悪化を招きます。

 エンジンを横置きにするということは、エンジンの長さを制限することにもなります。直列6気筒やV型8気筒のような高級車に相応しいエンジンを積むのに、横置きではスペースが不足します。ボディの横幅を越えるわけにはいかないからです。

 結果的に、直列エンジンであれば、4気筒以下の幅の狭いエンジに限られます。V型6気筒エンジンがまだポピュラーではない時代でした。コントパクトモデルならば割り切れるとはいえ、上質なドライビングフィールが期待される高級車にとっては、やや致命的なシステムでもあるのです。

致命的なシステムを打開するために、直列5気筒エンジンをホンダは開発した(写真提供:ミハラ自動車)致命的なシステムを打開するために、直列5気筒エンジンをホンダは開発した(写真提供:ミハラ自動車)

 そのストレスから解放するために、ホンダは特殊なシステムを開発しました。ホンダ最大の高級セダン「ビガー」のために、直列5気筒エンジンを開発したのです。そしてその直列5気筒エンジンを縦に積んだのです。

 となればFR駆動とするのが常識ですが、ビガーはFFのままです。

■常識を覆したホンダの技術陣

 ホンダ技術陣は知恵を絞ります。直列5気筒エンジンを縦積みにするのではあれば、動力をそのままプロペラシャフトで後輪に導くのが自然ですが、マンマキシマム・メカミニマム思想を貫くためには、FF駆動方式にこだわりたい。

総排気量2451cc水冷直列5気筒縦置エンジンは、最高出力190PS /6,500rpm、最大トルク24.2kgm /3,800rpmを発揮した(写真提供:ミハラ自動車)総排気量2451cc水冷直列5気筒縦置エンジンは、最高出力190PS /6,500rpm、最大トルク24.2kgm /3,800rpmを発揮した(写真提供:ミハラ自動車)

 ただそれでは、フロントタイヤを前輪に導くドライブシャフトがエンジンと干渉してしまう。奇策に挑みました。エンジンのフロアパンに穴を開けてドライブシャフトを貫通させたのです。それであれば、エンジンを低く搭載したままFF駆動が成立するというわけです。

 いやはや、驚くほど突飛なアイデアであり、感心するほど高度な技術力がなければ成立させることはできなかったでしょう。1992年のことです。

 それでも残念ながら、ビガーは商業的には成功しませんでした。ライバルであるトヨタ・マークII三兄弟や日産スカイライン/ローレルなどの牙城を崩せなかったのです。それをマンマキシマム・メカミニマム思想へのこだわりが邪魔をしたとするのは酷ですが、もっとシンブルにFR駆動にしていれば、あるいは成功していたかもしれません。

 現在ホンダは高級車をラインナップしていないのは、ビガーの不成功が亡霊のように立ちふさがっているように思えてなりません。

 ともあれ、直列5気筒エンジンを縦積みしてシャフトを貫通させたことで、ホンダの熱い開発魂と技術力を誇示することには成功したと思います。

1992年に誕生したホンダ「VIGOR 25S」1992年に誕生したホンダ「VIGOR 25S」

 直列5気筒ビガーの誕生は1992年です。バブル経済があったから誕生した、まさに泡のように消えた幻の高級車とも言えそうですね。

 ホンダの意地と技術を証明するモデルとして歴史に刻まれています。

◾️ホンダ「VIGOR 25S」

<エンジン>
形式:G25A
種類:水冷直列5気筒縦置
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
総排気量(cc):2451
圧縮比:8.3
最高出力(ps/rpm):190/6500
最大トルク(kgm/rpm):24.2/3800
燃料供給装置:電子燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
燃料タンク容量(リットル):65
<寸法・定員>
全長(mm):4830
全幅(mm):1775
全高(mm):1375
ホイールベース(mm):2805
乗車定員(名):5

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