小学生で理解したい「投球と送球」の差異 投げ方が安定する4点握りと“短い振り”
Full-Count / 2024年4月10日 7時50分
■日本ハムと阪神でプレー…田中聡氏が実践する、投げ方の引き出しを増やす指導
日本ハムや阪神でプレーし、現在は東京・羽村市で野球スクール「HERO-S」で小学生らを指導している田中聡さんは、送球のポイントを伝える時、まずは投球との違いを理解させる。そして、ジュニア期に様々な投げ方やポジションを経験することが将来に生きると考え、ショートアームなどの初心者には難しいと思われがちな技術も教えている。
ボールを投げるという動きは同じでも、投球と送球とでは目的が異なる。送球の技術を身に付けるには、その違いを知るところから始まる。米国の独立リーグや日本のプロ野球でプレーし、引退後は指導者の道を歩んでいる田中さんが説明する。
「投手は打者に向かって投げるので、フォームや球速はどんな形でも構いません。一方、野手はチームメートに投げるので、相手が取りやすい球を投げる必要があります。160キロの送球や、鋭く変化する送球では相手が困ってしまうわけです。目的がわかれば、小学生でも、状況によってどんな送球が良いのか理解できます」
より素早く正確に、相手が捕りやすい送球をするため、田中さんは4点でボールを握る方法を勧める。投球では人差し指、中指、親指の3点でボールを支えるが、送球は人差し指の真下に親指、中指の真下に薬指がくるように握る。最も送球が安定するという。
内野ゴロをさばく時は打球をグラブに収め、送球する方の手でボールを鷲づかみにし、ステップしながら4本指に握り替える。リリースする時は親指を握るようにして、ボールを指にかける感覚を覚えると、精度が高くなるという。
安定した送球のために田中氏が勧める“4点握り”【写真:間淳】
■真横にネットを置くことで、コンパクトな腕の振りを習得
田中さんはジュニア期に多種多様な動きを身に付けることが先のカテゴリーに生きると考え、選手に全てのポジションを経験させる。遊撃手に求められるショートアームでの送球もポイントを伝え、自然と動きが身に付くドリルを繰り返す。
腕をコンパクトに使うショートアームは、ボールを握った手が肘より後ろにいかないように投げる動きが基本になるという。田中さんは右投げの選手を指導する際、右腕の真横にネットを置き、右手や右肘がネットに当たらないようにして、正しいショートアームを選手に習得させる。
テークバックを小さくしたショートアームは近年、投手にも増えている。投げ方を含めて動きのバリエーションが多いほど、プレーの選択肢は増える。それだけ、選手としての可能性も広がる。(間淳 / Jun Aida)
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