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米中で激化する“半導体戦争”…ハイテク分野での軋轢は増すばかり、4月下旬からの決算発表に注目(中西文行)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月12日 9時26分

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中国でのイベントに出席した米アップルのクックCEO(C)ロイター

【経済ニュースの核心】

 半導体などハイテク分野で米国と中国の軋轢は増している。

 英フィナンシャル・タイムズによると、中国は政府使用のパソコンとサーバーから、米国のインテル、アドバンスト・マイクロ・デバイセズのCPUを段階的に排除することを定めたIT機器調達指針を導入した。マイクロソフトの「ウィンドウズ」や外国製データベースソフトウエアの代わりに国産製品を使うことも求めている。

 すでに中国工業情報省は2023年12月、CPUとOS、集権的なデータベースについて、それぞれ「安全」かつ「信頼できる」とみなされる製品リストを記した声明を発表しており、該当するのは全て中国企業の製品とみられている。

 中国・上海で3月20~22日に開かれた半導体業界の見本市「セミコン・チャイナ」で中国の半導体材料や装置各社は、半導体メーカーに国内調達を求めた。出展した外国企業のスタッフは、品質や効率性でまだ後れを取っているものの、中国の競合企業が急速に追いついてきていると述べていた。

 米アップルのクック最高経営責任者(CEO)は3月20日、BYD、藍思科技(レンズ・テクノロジー)、長盈精密(エバーウィン・プレシジョン)との交流会で「私が30年前に中国に来た当時、工場の自動化レベルはまだ低かったが、今は全く違う。これらの工場には非常に先進的な製造能力があり、極めて高い自動化レベルがある。従業員たちはしっかりと訓練されていて、技能が非常に向上している」と述べた。

 アップルは24年下半期に広東省深圳で新しい応用研究実験室を開設する。投資額は10億元以上。クック氏は3月22日に北京で中国の王文涛商務部長と会談。王部長は「アップルが引き続き中国市場に取り組み、共同発展を実現することを歓迎する」と期待を寄せた。クック氏は「中国での長期的な発展に力を入れ、中国のサプライチェーン、研究開発、販売促進への投資を拡大していく」とも述べた。

 米国と欧州連合(EU)は4月4、5両日にベルギーで開かれた「米EU貿易・テクノロジー協議会」(TTC)の閣僚級会合で、旧世代半導体の供給網強化に向け連携を強めることで合意。対中半導体規制を旧世代品にも広げられるもようで、他国の参加を促す方針も示した。旧世代半導体は自動車や家電、携帯電話、医療機器など幅広く使用され、中国製への依存度が高いとみられているからだ。

 各国の安全保障環境上、先端半導体・半導体製造装置は自由貿易から外された過去に類例のない重要な成長分野となった。そのため、米国は同盟国の巻き込みに奔走している。

 日本の「失われた30年」の間に、中国では産業構造が激変していた。日米ハイテク企業の4月下旬から5月下旬にかけての決算発表に注目したい。

(中西文行/「ロータス投資研究所」代表)

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