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猫を治療する料金の目安を知りたい…お金で愛猫の治療を諦めないための「ペット保険」と「猫用口座」【獣医師が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年2月28日 11時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

猫を病院に連れて行ったら、思っていたよりも高額で慌てたことのある人も多いのではないのでしょうか? 猫を病院で診てもらう大体の値段をあらかじめ知っておけば安心でしょう。著書『獣医さん、聞きづらい「猫」のことぜんぶ教えてください!』(日東書院本社)より、宮下ひろこ氏が解説します。

病院によって料金に大きな開きがある

動物医療は自由診療のため料金は病院によって大きな開きがあります。手術というとどうしても高額になり、大体の相場を知りたいという声が多いものの、明確な回答が出しにくいというのが実状です。

公益社団法人日本獣医師会による家庭飼育動物の診療料金実態調査を参考に算出した金額を掲載したので、大体の目安としてご覧ください。

個体差による料金の幅

手術料金は、病状や猫の体格・年齢などによって事前の血液検査の種類や調べる項目数がちがうので、猫さんごとに総額が変わります。

また、病院によって術前検査、麻酔、入院、薬、抜糸などを合わせた金額を提示するケースと、別途で提示するケースがあります。

手術に関わるスタッフ数も病院によって異なり、それぞれ料金に反映されることがあります。

例えば猫の避妊手術の場合、一般的には1泊入院して麻酔がさめた後の様子を見て退院するので入院を含めた費用となりますが、朝早くに預かり、夜遅くにお返しするような場合、入院費はかかりません。

ただ、病院によっては泊まらなくてもお預かりとして入院費が発生することもあります。また、子宮と卵巣を同時に切除する手術、卵巣切除だけの手術など術式のちがい、それに伴い麻酔料も変わってくるので、料金に大きな開きが出ます。

タンパクや糖が出ていないかとかpHや比重を調べる尿検査も、自分で採尿すればできる人間とちがい、動物は純粋な尿を取るのが難しいため、遠心分離機にかけて沈渣物を顕微鏡で見たり、場合によってはカテーテルを使って導尿を行ったり、膀胱穿刺といって膀胱に直接針を刺して採尿する処置を行ったりすることもあります。

その場合、超音波検査機で膀胱を確認しながら処置は獣医師も含めふたり以上で行います。尿検査ひとつとっても方法が多様なので料金に幅があるのです。

病院により同じ処置・手術でも開きがあり目安や平均値の算出は難しいのが実状

事前に見積もりを出してもらうのがベスト

動物病院によっては、手術の際にかかる麻酔料は動物種や体重、時間などで細かく料金設定しているところもあります。病名や手術名が同じでも、動物の全身状態や合併症の有無などで、入院が予定より長期になることもあります。

夜間救急病院や時間外の対応であれば、おのずと料金は基本より上がります。初診料が1万円前後、そのほかすべての処置に夜間割増などが加算されるのでトータルで高めになります。夜間に応対するスタッフの人件費や救急に対応するための設備などを考慮すれば相応と考えられるでしょう。

手術料金は高額になることが多いので、最近は事前に見積もり書を用意する病院も増えています。術前検査や全身麻酔など明細がはっきりわかるので安心ですね。

また、手術が無事に終わってもしばらく投薬が必要だったり1週間後、1か月後など予後診断が必要だったりする場合もあり、それぞれに料金も発生することをふまえておきましょう。

ペット保険という選択

比較的低額な料金設定をしている病院でも、手術や高度な治療となると、健康保険がない猫の場合、それなりの料金になります。

多彩なペット保険が登場しているのも、そうした背景があるからでしょう。若いうちは元気な猫さんでも7歳、8歳を過ぎるとさまざまな不調が出てきます。これは人間も同じですね。

今、動物医療はどんどん進化して、治る可能性の高い治療法や、痛みや苦しみを緩和してQOL(生活の質)を上げる処置などが増えています。愛猫のために最善のケアをしてあげたいと思ったときにお金が障壁になるのは辛いもの。そういう意味でもペット保険加入は検討する価値があります。

基本的には医療保険なので死亡時の補償などはありませんが、通院や入院、手術など、かかった治療費の一部を補償してくれます。

多いのは50〜70%、なかには100%補償の商品もあります。年間の支払い限度額や、限度回数が設定されていたり、年齢によって加入制限があったり、手術だけを対象としたりと、さまざまな保険商品があるので、愛猫の年齢や体調、ご家庭の事情などをふまえて、ベストな選択ができるとよいですね。

ペット保険を選ぶ際のチェック項目です。参考にしてください。

ペット保険はここをチェック

・加入・更新できる年齢制限

・補償の対象(通院・入院・手術)

・補償の割合

・補償の限度(回数・日数・金額)

・免責の有無

・保険料が定額か変額か

猫の平均医療費は年間4万8,000円

猫に何かあったとき、備えがあると心強いですよね。まずはいくらくらい準備すればよいか考えてみましょう。

アニコム「家庭どうぶつ白書2022」によると、治療費やワクチン、健康診断を合わせた猫の平均医療費は、年間で約4万8,000円。猫の平均寿命は14.4歳なので、計算上では生涯にかかる医療費は約69万円です。

保険料2万9,900円と設定し、同様に平均寿命をかけると約43万円となります。人間とちがい健康保険が効かない猫の場合、手術や抗がん剤治療などをするとあっという間に何十万、場合によっては総額で百万円を超えることも。もちろん生涯大きな病気をせず、ごくわずかの医療費で済む子もいるでしょうが、こればかりは予測できません。

普段から備えることで心に余裕を

愛猫に最善の治療をするために大きな借金をした人もいます。一方でお金の問題で治療をあきらめ、後悔し続ける飼い主さんもいます。

結局備えはあればあるだけ安心。無理はしない範囲でいざというときのために用意しておくとよいでしょう。記したようにペット保険を検討してみるのもよいと思います。または、保険料の分を貯金に回して、毎月計画的に貯めるのもよいでしょう。

何かあったときのために準備する際、最初の診療やさしあたっての治療費として50万円を目安にするとよいでしょう。猫用の口座か貯金箱にストックしておくか、50万円を目標に毎月貯めていくのもよいですね。猫専用を作ることで意識も高まり、貯まっていく安心感も生まれます。それは心の余裕にもつながります。

【この記事のポイント】 治療費・診療費、準備する目安は50万円を猫用口座・専用貯金箱に

宮下 ひろこ

獣医師/動物病院専任カウンセラー

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