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なぜ歯磨き粉はミント味? ヒット商品の誕生には「無駄」が必要なワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月26日 8時0分

 なぜか? それは、ミントがないと効果感を感じにくかったから。ミントのあのスースーした感じによって、勘違い的に効果実感を得ることができたのです。結果として長らく変わらず、ミント味のまま歯磨き習慣が続いているのです。

 こういう事例は結構あって、育毛剤がスースーするのもそうですし、シャンプーの泡だってなくても洗浄力が劣るわけではありません。

 実はこの話も、潜在意識が関係しています。人間の脳は真ん中に動物脳があり、その周囲を人間脳が覆っているという構造です。動物脳が本能的で潜在意識を担っていて、人間脳が理性的で顕在意識を担っている。動物脳の方が歴史上古くから存在する、いうならば先輩なので、影響力が大きいのです。

 だから人は、本能を刺激されると弱い。長く売れる商品の一見無駄だけど必要な要素は、本能を刺激し、つい使い続けたくなってしまうよう潜在意識が発動する重要なエッセンスだったんですね。

 つまり、無駄について考えることは「潜在意識」について考えるということ。本コラムの裏テーマは「潜在意識の解放!」です。

 そう書くとなんだかあやしい雰囲気がただよってきますが、何かの勧誘ではありません。でも、合理化の波にのまれて顕在意識だけをフル稼働させてビジネスを行うのではなく、潜在意識にもゆだねながら、行き来しながら思考を深めていくと、新しいビジネスの可能性が増えていくんじゃないかと、私たちは本気で思っているのです。かくして「令和の無駄学」という連載が誕生しました。

 無駄話が長くなりすぎて自己紹介が遅れましたが、現在は博報堂という広告会社でヒット習慣メーカーズというチームのリーダーをしている中川悠と申します。

 もともとエンジニアだった私は、広告会社に入って「短期的に終わる仕事ばかりでなく、もっと長く残る仕事もできないか?」と思い立ち、もがき、行きついたのが「新しい習慣をつくる!」という少し高尚な私的パーパスでした。

 それに共感してくれたメンバーが集まり、どうやったら習慣化できるんだろうかと分析したり、それをメソッド化して『カイタイ新書』『本能スイッチ』という本を出版したり、クライアントと商品開発する機会も増えて、現在に至っています。

 今後はヒット習慣メーカーズの面々で「令和の無駄学」というテーマで、ビジネスのヒントを斬りこんでいきたいと思います。ヒットの裏にある無駄、普段の暮らしにおける無駄な時間のススメ、なぜこんなデザインにしたんだろうという無駄デザイン、コンテンツに潜む無駄などなど──。メンバーも20代の若者から私のような40も半ばを過ぎたおじさんまで幅広いです。結構面白いコラムが書けそうな予感がします。

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