社員が「記名式」で社長に意見 「三行提報」はなぜ99%の提出率を誇るのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月15日 7時0分
渡辺均氏。サトーHD秘書部部長(提供:サトーHD)
バーコード、RFID、画像認識などの自動認識技術を活用して、「自動認識ソリューション」を提供するサトーホールディングス(以下、サトーHD)。同社では、従業員が記名式で社長や経営層に提案・報告をする制度「三行提報」(以下:提報)を45年以上続けている。
この制度の特徴は、従業員が毎日、3行(100~150字程度)の短文で提報を書くことにある。
驚くべきは、毎日の提出が求められるにもかかわらず、提出率が99%を超えている点だ。なぜ、そこまで高い提出率を維持できるのか。また、提報は経営にどのような影響を与えているのか。この制度に一から携わってきたサトーHD秘書部部長渡辺均氏に話を聞いた。
●冷蔵庫管理の改善、書類の電子化……「三行提報」にはどんな意見が集まる?
三行提報は、従業員が日々感じている問題点や改善案を、3行にまとめて経営層に直接提出する制度だ。提案と報告の意味を込めて“提報”と呼んでいるという。
この取り組みは、48年ほど前に創業者である佐藤陽氏が、会社全体の状況を把握するため、幹部社員に日報を出させたことが始まりである。急成長する会社の現場で何が起こっているのか、把握したいと考えたことがきっかけだった。ただ、枚数が増えると読む負担が増すため、やがて3行で提出を求めるようになったという。以来、提報は同社の文化として根付くこととなった。
「社員にとっては大したことないと感じることが、経営層にとっては大きい話題というケースは多い。経営層には日々社外や取引先などからさまざまな情報が入ってくる。そうした情報に、提報で得られる小さな情報がつながり、経営の意思決定に影響を与える」と渡辺氏は話す。
日々2000通ほど集まる提報は、専用のシステムを用いて一元管理され、秘書部を中心としたスクリーニングメンバーが内容を精査。数十通まで絞り込み、経営層に伝えている。
単なる目安箱にならないよう記名式を採用。報告者は一人称で自分がどうしたいかという要求を書くのではなく、具体的な改善策まで明記することを基本ルールとする。
記載される内容は業務から働き方に関することまで幅広く、例えばペーパーレス化を進めるための書類電子化の提案や、社内の冷蔵庫管理を改善するアイデアなど多岐にわたる。
渡辺氏は「社員は毎日ネタを探すため、問題意識を持ち続けることになり、考える力や文章力の向上、経営参画意識の向上につながる」とし、経営層と社員、どちらにも効果がある取り組みであることを強調した。
この記事に関連するニュース
-
イスラエルFairmatic、AIが運転状況を解析して保険料を割引。事故発生率の減少にも効果
Techable / 2024年5月31日 12時0分
-
大和証券、データ活用で成約率2.7倍 「顧客に損をさせない」ための秘策とは?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月31日 7時5分
-
PISCが創立25周年を機に賞金100万円の新たな社内表彰制度開始、その狙いとは
マイナビニュース / 2024年5月17日 7時0分
-
【日時:2024年5月28日(火)13:00~14:00】コミック教材を活用した研修サービス『コミックラーニング』、あそびで社会課題の解決を図る株式会社IKUSAと共同オンラインセミナーを開催!
PR TIMES / 2024年5月14日 17時15分
-
株式会社マイクロアドと協業し、地方自治体向け観光プロモーション支援サービス「AITでまちあげ」の提供開始
PR TIMES / 2024年5月9日 16時15分
ランキング
-
1「富士山を黒幕で隠す」日本のダメダメ観光対策 「オーバーツーリズム」に嘆く日本に欠けた視点
東洋経済オンライン / 2024年6月2日 8時0分
-
225年末まで減産延長=油価下支えへ―OPECプラス
時事通信 / 2024年6月2日 23時29分
-
3PIAAからヘッド&フォグ用LEDバルブ 6000K「超高輝度」シリーズ・5製品が登場
レスポンス / 2024年6月2日 10時30分
-
4なけなしの貯金と「年金月14万円」で暮らす70代女性、冷房代が払えず「“タダで涼める”スーパーへ避難生活」が続くも…「店長のひと言」で人生が一変したワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月29日 9時0分
-
5万博「経済効果」は2.9兆円? 国と民間、大阪府市で異なる予測の数字なぜ
産経ニュース / 2024年6月2日 18時43分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください