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「IBMはテクノロジーカンパニーだ」 日本IBMが5つの「価値共創領域」にこだわるワケ

ITmedia PC USER / 2024年4月23日 12時0分

 これは、2022年に打ち出したのですが、社員やパートナー、お客さまにも、この考え方が理解され、腹落ちしてきた段階にあるといえるのではないでしょうか。日本IBMがどの方向に行こうとしているのかという位置づけが明確になり、社員がこの方向に向かって行動しています。

―― まず「半導体/量子/AIなどの先端テクノロジーの研究開発と社会実装」について聞かせてください。この領域は、日本においても積極的な動きが見られています。

山口 ご指摘のように、当社では半導体/量子/AIなどの領域に力を注いでおり、積極的な投資を行っています。2022年には、今後10年間で半導体や量子コンピュータ、AIなどの研究開発や製造に200億ドル(約3兆円)を投資する計画を発表しています。そして、これらの領域においては、日本が重要な役割を果たすことになります。

 例えば、新たな半導体を事業化するには日本が持つ技術が必要であり、製造装置や素材といったところでも日本の企業が貢献できる部分は大きく、IBMコーポレーションとしても半導体分野に留まらず、日本市場に積極的に投資を行うことを決めています。

―― 半導体については、2nmの半導体製造プロセスの開発に注目が集まっています。日本のRapidusとの協業も一気に加速していますね。

山口 ロードマップの描き方が、かなりのスピード感を持ったものになっており、今はそのスピードに沿って展開が進められています。IBMはRapidusに対して2nmの技術をライセンスするとともに、人材育成を支援します。また、IBMが持つ半導体製造管理ソリューションを提供することも考えています。そして、Rapidusは北海道千歳市に製造拠点を建設し、量産を開始することになります。

 経済安全保障の観点でのメリットや、新たな雇用を創出するという効果がありますが、この取り組みは、日本の半導体産業の復興に大きな影響をおよぼすことになると考えています。振り返ってみますと、日本の半導体産業は、1980年代後半には世界の半導体市場の50%を超えるシェアを持っていましたが、その後競争力を失い、現在では10%弱のシェアに留まっています。しかし今回の取り組みなどを通じて、これを「産業」と呼べる規模にまで成長させ、「半導体産業」が再び日本に創出されることを期待しています。

―― 日本の半導体産業には、30年以上に渡るブランクがあります。このギャップを埋め、キャッチアップすることができるのでしょうか。

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