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「IBMはテクノロジーカンパニーだ」 日本IBMが5つの「価値共創領域」にこだわるワケ

ITmedia PC USER / 2024年4月23日 12時0分

山口 日本は、先行する他国をキャッチアップする必要はありません。それには理由があります。Rapidusとやっている2nmの半導体製造プロセスは、新たな世代の半導体です。これまでの世代においては、出遅れたため微細化競争の中に入っていっても勝てません。しかし、今は世代が変わるタイミングに入っています。IBMは次世代トランジスタ技術であるNanosheet(ナノシート)によって、2nmを実現することになります。

 つまり、これまでの世代の半導体をやってきたところも、全くやっていなかったところも、次世代となった時点で同じスタートラインに立つことができます。今だからこそチャンスなんです。

●量子コンピュータの活用で先行する日本

―― 一方で量子コンピュータは今、どんなフェーズに入っていますか。

山口 日本では、2023年10月に127量子ビットのEagleプロセッサを搭載した「IBM Quantum System One」が東京大学で稼働しました。また、2023年12月には、米ニューヨークで開催された「IBM Quantum Summit 2023」で、世界最高性能の量子プロセッサとなるIBM Quantum Heronプロセッサを発表した他、IBM初のモジュール式量子コンピュータ「IBM Quantum System Two」も発表しました。

 量子セントリックなデータセンターの構築にも取り組んでおり、古典コンピュータとつないだ環境が、日本でも構築されることになります。量子コンピュータと古典コンピュータのいいところをそれぞれ生かした適材適所の使い方が模索され、量子コンピュータだけではできなかったこと、古典コンピュータだけではできなかったことが解決できるようになります。

 素材研究や創薬での活用、金融リスク計算などが想定されていますが、日本の企業は量子コンピュータの活用では先行しています。実際、東京大学に設置した量子コンピュータの稼働率は100%を維持しており、世界中で最も稼働率が高い量子コンピュータとなっています。

 日本企業の取り組みは各社の差異化部分になるため、具体的な事例があまり公開されていませんが、私たちが想定している以上の使い方をしています。将来的には、日本においても、IBM Quantum System Twoを設置したいと考えています。

 さらに、2033年にはBlue Jayシステムとして、2000量子ビット、10億ゲートを実現するロードマップを新たに発表しています。エラー訂正による大規模な量子コンピューティングに留まらず、最終的には完全なエラー訂正を組み込んだシステムを構築することができるようになります。

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