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関東・甲信越・東北地方に「令和版帝国大学」を 高等教育に東西格差

Japan In-depth / 2024年4月27日 17時0分

関東・甲信越・東北地方に「令和版帝国大学」を 高等教育に東西格差




上昌広(医療ガバナンス研究所理事長)





「上昌広と福島県浜通り便り」





【まとめ】





・理工系教育リードしてきた旧七帝大の分布は偏在。理工系人材育成に大きな格差。





・関東・甲信越・東北地方に「令和版帝国大学」を設置すればいい。





・「福島国際研究教育機構(F-REI)」を学部学生も受け入れる大学にすればいい。





  





地域力は人材力である。人材力を高めるには教育に力を入れねばならない。特に高等教育は重要だ。国内外のさまざまな勢力と競争し、新たな産業を創り上げていくのは、高等教育を受けた人たちだからだ。





我が国の高等教育、特に理系教育は国立大学が担ってきた。国立大学の中でも、旧七帝大の果たしてきた役割は大きい。





旧七帝大は偏在している。京都文化圏である京都・大阪・名古屋には3つの旧帝大が存在し、残りは九州、東京、仙台、北海道に一つずつだ。この結果、旧七帝大で学ぶ機会は、国内で大きな格差が生じている。本稿では、今春の受験データを用いて、格差を紹介し、福島の問題を議論したい。





まずは、旧七帝大を代表する東京大学と京都大学の都道府県別の合格者数を示す。18歳人口1万人あたりの数字で比較している。図1をご覧いただきたい。福島は9.7人で37位だ。年度により変動はあるが、例年このあたりの順位である。









▲図1





注目すべきは、下位10県のうち、長野、青森、新潟、北海道、福島の5つが東日本勢であることだ。一方、上位10県のうち7県が愛知以西だ。東京大学の合格者の分布は、図2のように関東から西にかけて多い。









▲図2 





以上の事実は、東京大学は全国から学生が集まっていることを示す。ただ、もっとも多いのは関東地方で、合格者の59.3%を占める(表1)。この意味で、東京大学は「関東の地方大学」と言うこともできる。









▲表1





実は、東京大学の地元率は、九州大学(62.6%)、大阪大学(56.9%)と同レベルだ。京都大学は43.2%とやや低いが、同大学は名古屋を中心とした中部地方からの入学者も多い。中部地方を合計すれば59.9%と、同レベルになる。旧帝大といえども、三分の二は地元の学生が進学している。





東京大学の合格者分布で異様なのは、関東と接している東北地方の合格者の割合(2.9%)が低いことだ。九州(6.5%)、中四国(4.6%)にも及ばない。東北地方から東京大学への進学実績の低さは異様だ。





京都大学はどうだろうか。福島県の合格者数は2.1人で、47都道府県中で最下位だ(図3)。京都大学の合格者の分布は京都を中心に同心円をなす(図4)。東北地方と九州の一部などが「空白」だ。









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