ASEANとオーストラリアが特別首脳会議を開催、「メルボルン宣言」を採択（ASEAN、インドネシア、オーストラリア）

ASEAN事務局は3月6日、オーストラリアのメルボルンで開催されたASEAN・オーストラリア友好協力50周年の特別首脳会議において、「ASEAN・オーストラリア首脳ビジョン声明」および「メルボルン宣言」を採択したと発表した（ASEAN事務局3月6日）。

同宣言では、ネット・ゼロ・エミッションに対する世界的な取り組みが、近年の歴史において最も重要な改革の1つとの認識が共有され、オーストラリアやASEAN地域全体に社会経済的な機会をもたらすものだとした。そのうえで、ASEANはグリーン貿易、雇用、投資の促進に関するオーストラリアの関与を歓迎するとともに、ASEANとしてもグリーン経済に関するビジネスへの関与を深めるとした。また、オーストラリア政府はASEAN地域のクリーンエネルギーへの移行やインフラ開発を主な目的とした20億オーストラリア・ドル（約1.950億円、豪ドル、1豪ドル＝約97.5円）規模の投融資枠組みの設立を発表した。

さらに、ASEAN・オーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定（AANZFTA）の第２改正議定書が2023年8月に署名されたことを歓迎するとともに、同議定書の早期発効を期待するとした。同改正議定書により物品、原産地規則、サービス貿易、投資、電子商取引の改善が見込まれるほか、新たに政府調達、中小企業、貿易と持続可能な開発に関する章が追加される予定だ。

インドネシア・オーストラリア首脳会談、EVに関する新たな合意も

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、ASEAN・オーストラリア特別首脳会議にあわせ、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相と会談した（インドネシア大統領府3月5日）。ジョコ大統領は電気自動車（EV）の協力に関する覚書（MoU）の署名を歓迎し、早期の合同運営委員会の組成と作業計画の策定に期待を示したうえで、「特にニッケル（注）に関しては両国が競争よりも協力を優先することを奨励する」と述べた。

（注）米国地質調査所（USGS）によると、世界のニッケル埋蔵量（1億3,000万トン以上）のうち、4割程度をインドネシア、2割程度をオーストラリアが占めるとされる。

（大滝泰史）

（ASEAN、インドネシア、オーストラリア）