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一次産品価格は軟化も、地政学的緊張による上昇リスクはらむ、世界銀行の見通し(世界)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月30日 16時15分

添付資料PDFファイル(95 KB)

世界銀行は4月25日、「一次産品市場の見通し」〔プレスリリース(英語日本語)〕を発表した。2024年の一次産品価格指数(2010年=100)予測は105.3で、前回予測値(2023年10月発表)からは0.2ポイントの上昇となった。2025年は101.6と軟化する見通しだ(添付資料表参照)。

世界銀行によると、2022年6月から2023年6月にかけて世界の一次産品価格が40%近く急落した。これが、2023年の世界のインフレ率(5.4%)を前年(7.5%)から2ポイント以上低下させる要因となった。しかし、地政学的緊張が今以上激化しないことを前提とした一次産品価格指数の今後の予測は、2024年は前年比2.5%減、2025年は3.5%減と、わずかな下落にとどまる見通し。多くの国で目標インフレ率を上回っている状況下で、インフレを抑制する効果はほとんどないとの見通しを示した。

2024年と2025年の平均一次産品価格は、世界経済が比較的低成長であるにもかかわらず、新型コロナウイルス禍前の5年間(2015~2019年)の平均と比べて、37.5%上回る。アイハン・コーゼ世界銀行グループ副チーフエコノミスト兼開発見通し局長は世界経済の成長と一次産品価格の乖離の背景要因について、「地政学的緊張の高まりが主要一次産品の価格に上昇圧力をかけ続けており、急激な価格変動のリスクを高めている」と指摘。中東での紛争が激化した場合、エネルギー価格をはじめ、食料や肥料の価格も上昇する可能性があり、インフレ率低下に歯止めがかかる恐れがあると警告する。

エネルギー価格指数は、2024年に104.0、2025年に100.0と軟化する見込みだが、地政学的緊張により見通しは不透明だ。紛争の激化やスエズ運河の通航支障などによる供給混乱がないと仮定した場合、ブレント原油価格は、OPECプラスの減産が徐々に解除されることにより、2024年に1バレル当たり84ドル、2025年に同79ドルに下落を見込んでいる。紛争による混乱が深刻化すれば、原油価格は1バレル当たり100ドルを超える可能性もあり、その場合は2024年の世界のインフレ率は約1ポイント上昇することが想定されるという。

世界銀行は、今後の一次産品価格の動向は上振れが優勢とする見方を示し、価格上昇リスクとして、中東情勢の深刻化によるエネルギー価格への影響、米国のエネルギー供給の低下、気候変動による供給混乱を挙げた。

(田中麻理)

(世界)

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