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米下院中国特別委のギャラガー委員長が4月で議員を辞職、他議員の引退も相次ぐ(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月25日 16時20分

米国連邦議会下院のマイク・ギャラガー議員(共和党、ウィスコンシン州)は3月22日、議員を4月19日で辞職すると自身のSNSで発表した。同議員は2月に、11月の連邦議会選挙に立候補しない意向を表明していたが、引退時期が早まった。

ギャラガー議員は2017年に初当選し、2023年からは、「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会」(中国特別委)の委員長を務めている(2023年1月12日記事参照、注1)。ギャラガー議員は対中強硬派として知られ、最近でも、外国の敵対勢力のアプリを規制する法案に反発するTikTokに対して、「虚偽の情報を流布した」とする書簡を送付したり(2024年3月14日記事参照)、中国の港湾荷役機械大手の上海振華重工(ZPMC)に対し、米国港湾で稼働する同社製クレーンのセキュリティー上の懸念に関する質問状を送付したりするなど(2024年3月12日記事参照)、積極的に活動していた。

ギャラガー議員のほかにも、主要議員の引退表明が複数出ている。連邦上院では、ミット・ロムニー議員(共和党、ユタ州)が2023年9月に、大統領選挙と同時に行われる2024年11月の連邦議会選挙に立候補しない旨を表明した。同議員は共和党上院では唯一、ドナルド・トランプ前大統領の弾劾裁判で有罪に投票するなど、共和党の穏健派として知られている。また、キルステン・シネマ議員(無所属、アリゾナ州)も2024年3月に、11月の選挙に立候補しない旨を表明した。同議員は2022年11月の中間選挙直後に、民主党を離党し無所属となっていた(2022年12月13日記事参照)。下院では、歳入委員会貿易小委員会で少数党筆頭理事を務めるアール・ブルメナウアー議員(民主党、オレゴン州)が2023年10月に、引退を表明している。同議員は「基本的にほぼ全ての通商協定の成立を支持してきた」と述べるなど(2024年2月22日記事参照)、自由貿易を支持していた。また、下院議長を務めたケビン・マッカーシー氏も、2023年末をもって政界を引退している。2024年3月中旬時点で、上院は改選対象34人のうち民主党議員5人、共和党議員2人、無所属の議員1人が、下院では民主党議員20人、共和党議員23人が立候補しない旨を表明している(注2)。

大統領選挙に注目が集まるが、連邦議会選挙の行方も重要だ。ジョー・バイデン大統領の主要な経済政策は、インフラ投資雇用法(IIJA、2021年11月9日記事参照)、インフレ削減法(IRA、2022年8月17日記事参照)CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法、2022年8月26日記事参照)に基づいて行われているが、これらはすべて2022年11月の中間選挙前に成立している。中間選挙後は、上院の多数党は民主党、下院の多数党は共和党とねじれ議会になり、大型の法案を成立させられていない。ワシントンの議会動向に詳しい専門家は、大統領選挙の年は、通常よりも多くの議員が引退を表明するとしつつ、「その中から誕生する新しい議会のリーダーは、一般的に政治経験が少ないため、就任当初は法案成立のための駆け引きにたけていない」と指摘する(注3)。2025年以降の米国の政策の行方を占うためには、大統領選挙とともに議会選挙も注視する必要がある。

ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙に向けての動き」では、大統領選挙に関する最新動向を随時紹介している。

(注1)ギャラガー議員の引退後、中国特別委がどのように扱われるかは、現時点では不透明だ。ただし、同委は超党派の支持を得ている。同委の設置は、当時の下院議長だった共和党のケビン・マッカーシー元議員(カリフォルニア州)の公約だった一方で、民主党のラジャ・クリシュナムルティ議員(イリノイ州)は2月に、民主党政権も中国特別委の継続を支持する旨を述べている。なお、昨今の議会における中国に対する厳しい見方から、ワシントンの議会動向に詳しい専門家は、「中国特別委が存在してもしなくても、対中強硬姿勢は継続される」と述べている。

(注2)上院は選挙予測サイト270toWin、下院はニューヨーク・タイムズ紙を参照。

(注3)上院少数党院内総務を務めるミッチ・マコーネル議員(共和党、ケンタッキー)は、議員は続けながらも、院内総務を退く意向を表明しているため、上院共和党では11月の選挙後に新たなリーダーに代わることになる。

(赤平大寿)

(米国)

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