中銀予測、2024年のGDP成長率は4.0~5.0%に回復(マレーシア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月25日 1時45分
マレーシア中央銀行は3月20日、2023年の年次報告書を発表し、2024年の実質GDP成長率を4.0~5.0%と予測した(添付資料表、中銀プレスリリース参照)。前年と比べて大幅に鈍化した2023年の3.7%から、2024年は巡航速度に回復する見込み。堅調な内需と外需の改善が成長の源泉とし、財務省が2023年10月に示した見通し(2023年10月23日記事参照)を据え置きつつ、下振れリスクに警戒する姿勢も見せた。
経済成長を牽引するのは引き続き個人消費を中心とする内需で、2024年は前年を上回る5.4%の伸びが予測される。半導体需要の回復などにより、輸出もプラスに転じるとみられる。産業別では、特にサービス業が5.5%と好調を予測、製造業も輸出回復などを背景に3.5%へ加速する見通しだ。成長へのプラス要因として、テクノロジー部門の復調による波及効果や、観光活動のさらなる活発化、新規や既存の投資事業の着実な実施などを想定。リスク要因としては、予想より低迷する外需、地政学的緊張の激化、一次産品生産の減少幅拡大などを挙げた。
2024年のインフレ率は2.0~3.5%で安定、通貨リンギ相場は改善見通し
中銀は2024年のインフレ率を2.0~3.5%と予測。エネルギーや食品を除いたコアインフレ率は最大3.0%と見込む。全般的には世界的に供給が緩和し、コスト圧力が抑制されると分析した。しかし、政府による補助金見直しの行方や、為替変動、地政学リスク、自然災害によるコモディティー価格高騰など、依然として上振れリスクに大きくさらされているとも指摘し、予測値に幅を持たせた。
中銀のアブドゥル・ラシード・ガフォール総裁は、2024年も引き続き物価安定と継続的な経済成長に焦点を当てた金融政策を実施する考えを示した。中銀は2023年5月に政策金利を引き上げて3.0%とした後、利上げは実施していない(2023年11月6日記事参照)。
ラシード総裁は対ドルでの通貨リンギ安にも言及。リンギは2月に1ドル4.79リンギまで下落したが、3月15日時点で4.7リンギまで回復。リンギは過小評価されていると強調しつつ、中銀が政府系企業などに要請している国外投資収入のリンギ転は効果を上げていると述べた。その上で、今後は米国の金融緩和や域内経済の成長加速とともに、上昇基調が続くと見通した。
(吾郷伊都子)
(マレーシア)
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