とにかく個性を主張! デザインがおもしろすぎる車5選
くるまのニュース / 2021年5月6日 6時10分
クルマのデザインは時代によって変化し、その時の流行によっても影響があります。しかし、そうした流行を追うことなく我が道をいったモデルも存在。そこで、個性豊かでユニークなデザインのモデルを、5車種ピックアップして紹介します。
■アグレッシブなデザインのクルマを振り返る
クルマの外観デザインは販売台数を左右する重要な要素だけでなく、室内の広さや空力性能など燃費や走行安定性にも大きく影響を与えます。
さらにデザインだけを優先してしまうと生産性にも影響するため、デザイナーが考慮すべき点は多岐にわたるといえるでしょう。
そうしたクルマのデザインは時代によって流行があり、刻々と変化していますが、なかには流行を追うことなく我が道をいったモデルも存在。
そこで、個性豊かでユニークなデザインのモデルを、5車種ピックアップして紹介します。
●シトロエン「C6」
シトロエンらしさあふれるアバンギャルドなデザインの「C6」
シトロエンがつくるクルマといえば、これまでも個性的かつアグレッシブなモデルが多いことで有名です。たとえば現行モデルの「C3」シリーズはシトロエンならではといえるでしょう。
また、かつて販売していた「DS」や「SM」といったモデルは、いまでも世界中にファンが存在するほど、ユニークなデザインです。
そして、2005年に発売された「C6」もかなり斬新なデザインのモデルでした。
シトロエンのフラッグシップセダンとして開発されたC6は、極端にオーバーハングしたフロントフェイスに、シトロン伝統の「ダブルシェブロン」をあしらったグリルが特徴的で、リアはフロントとは対照的にオーバーハングが短く、リアウィンドウは通常とは逆に凹面を採用。
2006年から2010年にかけて日本にも正規輸入されており、3リッターV型6気筒エンジンを搭載した上級グレードのみが販売されました。
フロントフェイスの奇抜なデザインや、5m近い全長の大柄かつ特異なシルエットのボディは、まるで陸を走るクジラのようだと評されましたが、シトロエンファンやデザインコンシャスなユーザーには高評価だったようです。
その後、C6は2016年にフルモデルチェンジしましたが、デザインはスタイリッシュな普通のセダンとなってしまい、かつてのシトロエンらしさは薄れてしまいました。
●ルノー「アヴァンタイム」
大型のボディながら3ドアハッチバックを採用した「アヴァンタイム」
現在販売中のルノーのモデルは、シャープなフロントフェイスに複雑な曲面を組み合わせた抑揚のあるボディというのがトレンドとなっていますが、2000年代初頭にはかなりアグレッシブなデザインを採用していました。
その代表格といえるのが、2001年に発売された「アヴァンタイム」です。
アヴァンタイムのボディは未来感あふれる斬新なフォルムの3ドアハッチバックですが、もっとも特徴的なのはドアで長さが1.5m近くもあり、狭い場所での開閉のためにドアヒンジを2か所設け、2段階に開く機構を採用していました。
トップグレードは3リッターV型6気筒エンジンを搭載したFFで、室内はミニバンほど広くありませんがファミリーカーとして使われることを想定して開発されたといいます。
アヴァンタイムはデザインを優先した斬新なコンセプトのモデルでしたが、さすがに巨大なドアの使い勝手が悪かったようで、わずか2年ほどで生産を終了。
日本にも正規輸入されていたので今も中古車が流通しており、人とは違うクルマが欲しいというユーザーにはピッタリなクルマではないでしょうか。
●BMW「3シリーズti コンパクト」
専用デザインとなったフロントフェイスも賛否が分かれた2代目「3シリーズti コンパクト」
現在、BMWのラインナップでコンパクトなモデルとして「1シリーズ」がありますが、その前身となったモデルが1990年に登場した「3シリーズti コンパクト」です。
スタイルは3ドアハッチバックで、Cピラーまでは標準モデルの3シリーズと同じ外観でありながら、リアのトランク部分をスパッと切り落としたことで、クーペよりも全長が22cmも短くなっていました。
そして1998年に3シリーズが4代目にモデルチェンジされると、3シリーズti コンパクトも一新。
しかし、全長4265mm×全幅1750mm×全高1410mmのボディサイズは切り詰めた全長から腰高に見え、セダンやクーペと異なる独自のデザインとされたフロントフェイスも相まって、賛否が分かれる結果となりました。
一方で、コンパクトなボディながらもBMW伝統のFRとなっており、国産コンパクトカーとは一線を画するモデルだったといえます。
結局、2004年に1シリーズが登場したことで3シリーズti コンパクトは販売を終了しました。
■同様なコンセプトの日欧ユニークミニバンとは
●フィアット「ムルティプラ」
「醜いクルマ」と酷評されてしまった「ムルティプラ」
第二次世界大戦後のフィアットがつくるモデルは、「NUOVA 500」に代表される小型のモデルが主力車種となっていました。
なかでも1956年に発売された初代「ムルティプラ」は、リアにエンジンを搭載したコンパクトカー「600」をベースにした3列シート6人乗りで、優れたパッケージングを実現したコンパクトミニバンの先祖といえるモデルです。
そして、1998年にムルティプラの名前を冠した6人乗りミニバンが誕生。そのデザインは大いに物議を醸しました。
外観はスクエアなフォルムの5ドアハッチバックですが、まるで両生類のようなフロントフェイスに、キャビンはクルマの上にクルマが重なっているようにも見える奇抜すぎるデザインを採用。
また、ムルティプラは2列シートながら、前席に3人、後席に3人が横並びで乗車できる独立したシートレイアウトとなっており、そのためボディサイズは全長3995mmに対して全幅1870mmと極端に幅が広くなっており、お世辞にもバランスが良いとはいえませんでした。
ムルティプラのデザインはとくに欧州で酷評されたことから、2004年のマイナーチェンジでフロントセクションのデザインを一新。
しかし、今度はデザインがあまりにも普通すぎて、前期型の奇抜さを好む声が大きくなるという皮肉な結果となりました。
ムルティプラは日本でも2003年から正規輸入されましたが、5速MTのみの設定だったためか人気とはなりませんでした。それでも前期型の方が好まれており、現在販売されている中古車も前期型が多い状況です。
●ホンダ「エディックス」
コンセプトは良かったもののヒットには至らなかった「エディックス」
1994年にホンダは、初のミニバンとなる初代「オデッセイ」を発売。空前の大ヒットを記録し、1996年には初代「ステップワゴン」を発売すると同じく大ヒットして、両ミニバンはホンダの主力車種となりました。
その後、ホンダはミニバンラインナップの拡充を図り、2004年に新発想のミニバンとして「エディックス」が登場。
最大の特徴は室内で、前出のムルティプラと同じく前列、後列とも独立する3つのシートが設置された2列シート6人乗りのレイアウトを採用していました。
外観は全幅を最大限に室内寸法に生かすため、1BOXバンのように左右のパネルがほぼ垂直とされ、サイドビューはショートタイプのミニバンながら、前後から見ると真四角というユニークなフォルムとなっています。
エンジンは発売当初は1.7リッターと2リッター直列4気筒が搭載されていましたが、後期型ではよりパワフルな2.4リッターエンジンを追加。
このユニークなシートレイアウトによってエディックスは大いに話題となりましたが、一般的な3列シート+後席スライドドアのミニバンほどの人気とはならず、2009年に一代限りで販売を終了。
欧州では比較的人気が高かったことから、コンセプトは間違っていなかったといえますが、日本のミニバン市場では苦戦したということでしょう。
※ ※ ※
今回、紹介した5車種はセールス的には成功しなかったといえますが、今見ると斬新かつ好印象ではないでしょうか。
奇をてらったデザインはメーカーとしてもある意味ギャンブルといえますが、横並びに同じようなデザインよりもデザイナーの主張が伝わってきます。
近年は失敗が許させない風潮が強くなったのか、こうしたユニークなデザインのクルマが少なくなったのは、寂しいところです。
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