クルマの「サイドブレーキ」なぜ必要?「P」レンジのみで駐車はNGって知ってた? 正しいブレーキのかけ方とは
くるまのニュース / 2024年5月10日 20時10分
AT車では、シフトレバーをPレンジに入れるだけで車両を停止状態に保てると思われがちですが、実は駐車時には「サイドブレーキ」の使用が不可欠です。どのように使用すべきなのでしょうか。
■サイドブレーキの役割は?
新車販売の9割以上を占めるAT車(CVT車、DCT車を含む)では、駐車するときにシフトレバーを「P」レンジに入れることで車両を停止させることができます。
一方で、クルマにはサイドブレーキ(正式名称:パーキングブレーキ)も備わっており、車両を停止させたときに使用しますが、なかにはサイドブレーキを掛けずにPレンジだけで駐車している人もがいるかもしれません。
サイドブレーキはなぜ必要なのでしょうか。
AT車ではシフトレバーをPレンジに入れるだけで車両の停止状態を保てると思われがちですが、実は駐車時にはサイドブレーキの使用が不可欠です。
サイドブレーキは、車両の意図しない動き出しを防ぐ重要な役割を担っており、Pレンジとの併用によって安全性が大幅に向上します。
その仕組みは、ブレーキ機構につながったワイヤーが後輪のブレーキパッドを締め付けて固定する構造となっており、これにより車両を安全に停止させることができます。
サイドブレーキは、駐車時のロックだけでなく、運転時の補助的な役割としても重要な機能を果たしています。
特にMT車の場合、サイドブレーキを日常的に活用しているという人も多いでしょう。
例えば、急勾配で停止したときに、坂道発進する際の補助ブレーキとして使用したり、万が一フットブレーキが効かなくなった場合の緊急ブレーキとしても活躍します。
一方、AT車ではフットブレーキが主流となっているため、サイドブレーキを使用する場面は少ないかもしれません。
AT車の運転では、Pレンジに入れるだけで車両を停止できるため、平坦な駐車場などではサイドブレーキの使用を省略しがちですが、Pレンジでの停止はトランスミッション内部のギア同士の噛み合わせによるロックに頼っており、車両全体を確実に固定することができず、それだけでは十分に安全であるとは言えません。
例えば、傾斜面に駐車する際、Pレンジのみでは車両の重みによってギアが徐々にずれ、最悪の場合は車両が動き出してしまう危険性があります。
また、強風や地震などの外的要因によっても、クルマが動く可能性は十分にあり得ます。
さらに、Pレンジだけでは車両の重みがギアに常にかかり続けるため、長期的にはトランスミッションの摩耗や故障につながる恐れがあり、こうしたリスクを回避するためにもサイドブレーキの使用が不可欠なのです。
AT車であっても、駐車時にはサイドブレーキを併用することが不可欠となっており、Pレンジとサイドブレーキを組み合わせることで、車両停止時の安全性が飛躍的に高まるのです。
■サイドブレーキの種類とは? どう使う?
サイドブレーキには手動レバー式や足踏み式、ボタン操作の電動式など、さまざまなタイプがあります。
レバー式サイドブレーキは、一般的には運転席と助手席の間に位置するレバーで操作します。
ブレーキを作動させるにはレバーを上に引き上げ、解除する際は、レバーの先端にあるボタンを押しながらレバーを下に押し下げます。この方式は、操作が直感的でわかりやすいのが利点です。
最新の「電動式パーキングブレーキ」
足踏み式サイドブレーキは、ブレーキペダルの左側に配置されています。ブレーキを作動させるには左足で強く踏み込みます。
解除する際は、再度サイドブレーキを踏み込むことで外れます。この方式はAT車で広く採用されており、操作が簡単で素早く行えるのが特徴です。
また近年増えているのが、電動式パーキングブレーキです。この方式では、モーターによってパーキングブレーキ操作が電動化されており、ボタンやスイッチを押すだけで作動と解除が可能です。
電動式の利点は、自動でパーキングブレーキを作動させられることや運転支援システムの機能を高められることなどが挙げられます。
一方で、バッテリー上がりなどのトラブル時にブレーキを解除しにくいデメリットもあります。
どのブレーキタイプでも、ゆっくりと確実に作動させることが操作のコツです。
特に、レバー式の場合はレバーが上がらなくなるまでしっかり引き上げ、解除時は、ボタンを押しながらゆっくりと下ろします。
足踏み式では、踏み込む強さを一定に保ち、急激な操作は避けましょう。電動式の場合は、ボタンやスイッチの操作に慣れることが大切です。
※ ※ ※
このようにサイドブレーキにはさまざまな種類がありますが、どの操作方法においても正しい使い方を理解し、安全運転のためにしっかり活用することが重要です。
MT車はもちろん、AT車でもクルマを離れる際は必ずサイドブレーキを確実にかけ、発進時には完全に解除してから走り出すようにしましょう。
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