1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

高齢者の脳卒中は過体重の方が低体重より回復などが良好、国循が確認

マイナビニュース / 2024年5月8日 12時3分

画像提供:マイナビニュース

国立循環器病研究センター(国循)は5月7日、国際的に使用される肥満度の指標である「BMI」が、18.5未満の低体重は脳卒中後の転帰(疾患・怪我などの治療における症状の経過や結果)不良に関連しており、同値が23~25の過体重では転帰良好に関連することを確認したと発表した。

同成果は、国循 脳血管内科の三輪佳織医長、同・吉村壮平医長、同・古賀政利部長らの研究チームによるもの。詳細は、脳卒中に関する全般を扱う学術誌「International Journal of Stroke」に掲載された。

肥満度の高い人は、そうでない人に比べて、糖尿病などの生活習慣病や心血管病などの発症リスクが高いことは良く知られている。しかし、実は心血管病が発症してしまった後の機能回復の点では、むしろ肥満度が低い人よりも高い人の方が良好であることが報告されており、「obesity paradox(肥満のパラドックス)」と呼ばれている。

一方、脳卒中に関しては状況が異なる。脳卒中においても肥満が発症リスク因子の1つである点は同じだが、発症後の転帰に関しては、これまでのところ研究成果ごとの矛盾があったという。たとえば、欧米で行われた複数の先行研究によれば、脳梗塞ではBMIが18.5未満の低体重の人の方が転帰不良であると報告されているが、obesity paradoxの関連は明らかではないとする。また、脳出血やくも膜下出血、さらに脳梗塞でも病型によって肥満度が転帰に関連があるのかどうかは解明されていないという。

日本は超高齢社会であり、さらに欧米ほどの肥満度の高い人は少ないことから、日本人集団に関する独自の検証が必要だったとする。そこで研究チームは今回、多施設国内共同レジストリ研究から、BMIが脳卒中病型ごとの転帰に及ぼす影響を検証することにしたという。

今回の研究では、2006年から2022年までに国循の「日本脳卒中データバンク」に登録された急性期脳卒中5万6230例のうち、入院時にBMIが確認されている症例が対象とされた。BMIについては、世界保健機構が推奨するアジア人における定義に基づき、18.5未満が低体重、18.5~23未満が正常体重、23.0~25.0未満が過体重、25.0~30.0未満がI度肥満、30以上がII度肥満と分類された。

また脳卒中は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に分類し、脳梗塞病型を国際的に汎用されるTOAST分類を用いて、心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、そのほかの脳梗塞、原因不明脳梗塞に分類。評価項目である退院時の転帰(患者自立度)は、国際標準尺度である修正ランキン尺度(0[後遺障害なし]~6[死亡]の7段階の評価法)が用いられ、同尺度の5~6が転帰不良、0~2が転帰良好と定義された。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください