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「好き」と「好きにしていい」は全く違う…良好な人間関係を保つために不可欠な最低限のマナー

プレジデントオンライン / 2024年4月9日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kokouu

良好な人間関係を保つにはどうするべきなのか。作家のキム・ダスルさんは「できるときに誠実であるべきなのだ。ちょっと気に掛けてあげるだけでいい。その“ちょっと”さえできなかったときに相手の心は枯れる」という――。

※本稿は、キム・ダスル 著/岡崎暢子 訳『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

■努力をすれば人との距離は近づくのか

努力しても何の進展もない関係は放っておくに限る。人と人の関係には、努力すればするほど近づけるものと、そうじゃないものがある。

努力して近づける関係とは、相手にもその気があるとか、すごく馬が合う場合に限られる。お互いに望んでいるからその距離は縮まるしかない。人脈であれモノであれ愛であれ、近づける関係というのは、偶然が重なって何度も出会うとか、出会ったばかりなのに昔からの知り合いのような気がするといった、言葉では言い表せない不思議さをまとっているもの。

一方、努力しても近づけない関係とは、そもそも相手がこちらに興味がないとか、よく考えてみたら自分もそれほど興味がないケースだ。なぜかこの人とは会話が嚙(か)み合わないとか、妙にモヤっとするような人との関係が当てはまる。

こちらから何度働きかけてもリアクションが薄い相手は特にわかりやすい。こういう相手とはそれ以上努力してもムダ。価値の生まれない関係だ。何より、こちらの努力にだって限界がある。

すべての関係をうまくやらなきゃって思う必要もない。無理するだけ時間のムダだし「感情労働」みたいになってしまうから。何度努力してもらちが明かない相手なら、迷わずスパッとあきらめてしまって構わない。潔い人間関係は、自分の心のためでもある。

■親しい人とも“ちょっぴり”離れる

お互いの距離が近づきすぎると、気遣いもあいまいになる。気楽な関係であればあるほど、遠慮なく何でもポンポン言ってしまう。ぞんざいな言葉には配慮が足りないから、ついつい相手を傷つける結果になる。

結論ばかり急いで、途中の段取りを省(はぶ)いてしまうことも多い。相手が察してくれるはずと完全に甘えてしまっているやり方だ。やはり人と人というのは、適度な距離があってこそ礼儀もわきまえ、相手のことも尊重するらしい。

近づきすぎると相手へのおかしな依存心も生まれる。相手のことを優先しすぎるあまり、自分を犠牲にするようになるのだ。

つまり依存が過ぎると、それだけ相手に振り回されやすくもなるってことだ。

最終的には、相手に憎(にく)しみの感情を抱くようになる。自分を傷つけ、思い通りにならない相手が憎い。良好だった関係を粉々にしてしまうのは、こうしたいびつな憎しみの感情からだ。憎しみを感じるたびに、自分も相手も不幸になっていく。

人は思っている以上に他人の影響を強く受けるもの。適度な距離が保てないと自分が自分でいられなくなるのは、そういうことだ。

人間関係というのは、ちょっぴり離れているくらいが一番美しいバランスなのかもしれない。だから、どんなに近づきたい相手がいても一定の距離でセーブすべき。それでこそ自分も相手も守ることができる。お互いの関係を長く続けていきたいなら、距離感をとにかく大事にすべきだ。

■「見返りを求めない」は難しい

相手に尽くせば尽くした分だけ、傷つくときはダメージも深くなる。だからこそ人に親切にするときは見返りなんか期待しないに限る。だけどそれって結構難しい。なぜなら、人間には見返りを求める心理が本能的に備わっているからだ。

これから話すのは心だけの話じゃなくて、ヒトの脳にそういう報酬系の回路が存在しているって話。

ヒトの脳には、腹側被蓋野(ふくそくひがいや)を起点に、側坐核(そくざかく)、前頭前皮質(ぜんとうぜんひしつ)にいたる報酬系回路の重要部位がある。このことは、ヒトが生物学的にも報酬、つまり何らかの見返りを求める生き物であることを物語っている。

見返りはどんなものだって構わない。自分が相手に対して何かしてあげたうち、半分でも返そうという誠意が相手から感じ取れれば十分満足できる。しかし、こうした誠意すら見せない相手に対しては、違和感だけが募っていく。

相手がそんな態度では、こちらはがっかりするだけでなく傷つきもする。生物学的に見ても報酬系回路に逆らっているようなものだから、当然、苦しく、つらくなる。

結局、脳のためを思うと、きちんと返してくれる人に対してだけ尽くしたほうがストレスが少ないのだ。返してくれる人は、誰に言われずとも相手に報いようと動くもの。このことは、相手が誠意ある人間か否かを見極められる、ひとつのわかりやすい基準でもある。

青く光る脳のイメージ
写真=iStock.com/koyu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/koyu

■「好き」と「好きにしていい」は違う

「好き」という言葉は、「好きにしていい」という言葉と同義語ではない。それでも、好きと言ってくれる相手をいい加減に扱う人たちも少なくない。彼らの態度はフランクを超えて無神経の域だ。フランクなのと雑なのは、全くの別モノだ。

フランクな態度には、ざっくばらんな中にも相手へのリスペクトや思いやりが必ず根底にあるものだ。対して、雑な態度とは、ただひたすら本人の好きなように振る舞っているだけ。

■好かれたら「好き」を惜しみなくあげる

愛情でも友情でも、好きの度合いが互いに同レベルなら問題ないけれど、たいていはどちらか一方が相手よりもっと「好き」なわけで。だからどうしても「好き」の度合いが弱いほうの人は、「好き」がより強いほうの人の愛情表現に慣れっこになる傾向にある。それが当たり前だと思うほど、相手のことを雑に扱い出す。そのうち、相手の「好き」という感情を利用するようにもなる。そんな無礼でゲスなことはない。

心からお互いのことを好きでいられる関係なんて、簡単に経験できるものじゃない。

それくらい貴重な気持ちなのだから、ありがたく思い大切にすべきだ。

「好き」という気持ちは、好きな人に対して惜しみなくあげたいもの。

そんな真心につけ込むなんて、決してあってはならないのだ。

シーソーの上のハート
写真=iStock.com/pepifoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/pepifoto

■最低限のマナーを破れば永遠にひとりぼっち

一度枯れてしまった心のリカバリーはやっかいだ。花だって、しおれただけなら水をやれば元気になるけれど、完全に枯れてしまったなら、どんなに手を施しても復活は難しい。

心も同じだ。離れてしまった心にいくら訴えかけても元通りにならない。そのときになって愛情を示しても、言葉遣いに気を付けても、連絡をマメにしても時すでに遅しだ。

どんなに過去のよかったときを引き合いに出しても、単なるまぶしかった思い出に過ぎない。人の心とはそれほどまでに繊細なもの。だから、できるときに誠実であるべきなのだ。何もやたらめったらに尽くせって意味じゃない。ちょっと気に掛けてあげるだけでいい。

キム・ダスル 著/岡崎暢子 訳『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』(ダイヤモンド社)
キム・ダスル 著/岡崎暢子 訳『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』(ダイヤモンド社)

相手の心を枯れさせてしまうのは、その“ちょっと”さえできなかったときだ。そのくせ、自分のことを棚に上げて「あいつとは付き合いにくい」と言い訳したりする。こういうのは付き合いにくいんじゃなく、言った本人が人間関係をあまりに軽々しく考えて生きてきた結果だ。

どうして自分ひとりだけが楽をしようとして、人付き合いをめんどくさがるのか。

自分は何もしないくせに相手が気を遣ってくれることを望むなんて、単なるわがままにすぎない。

相手にイヤな思いをさせないためには、自分が引くべきときもそれなりにある。人間関係の最低限のマナーも守れないようじゃ、永遠のひとりぼっち確定じゃないか?

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キム・ダスル 作家、作詞家、コピーライター
作詞家としてデビュー後、多数の企業でコピーライターとして活躍。現在はInstagramを中心に人生に関するエッセイを連載中。韓国で2022年全体1位のベストセラーを記録したエッセイが『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』(ダイヤモンド社)。ほかの著書に『誤解されても放っておく』(三笠書房)がある。

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岡崎 暢子(おかざき・のぶこ)
韓日翻訳・編集者
1973年生まれ。出版社はじめ各種メディアで韓日翻訳に携わる。訳書に『あやうく一生懸命生きるところだった』『どうかご自愛ください』『教養としての「ラテン語の授業」』(以上ダイヤモンド社)、『頑張りすぎずに、気楽に』(ワニブックス)、『K-POP時代を航海するコンサート演出記』(小学館)など。編集書に『小学生が知っておきたいからだの話(男の子編/女の子編)』(アルク)などがある。

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(作家、作詞家、コピーライター キム・ダスル、韓日翻訳・編集者 岡崎 暢子)

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