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受験必須の「考える力」、親子で育成 学研HDの宮原博昭社長に聞く

産経ニュース / 2024年5月9日 18時17分

子供たちに求められるようになった「考える力」。受験のカギにもなっているが、どのようにすれば身に付けられるのか。防衛大出身という異色の経歴を持ち、教育に精通する学研ホールディングスの宮原博昭社長(64)は親子でコミュニケーションを深めて苦手教科を克服し、総合力を鍛えることが大切だとアドバイスしている。

正解のない問い

美術館、市役所、公園、駅。街に図書館をつくるなら、どの施設の近くにするべきか-。学研が中学2年向けに行っているテストには、地図を読み解き、端的に理由を説明させ、自分の考えを、自分の言葉で説明する力を見る設問がある。正解は一つではない。

地価やアクセスなどさまざまな観点から答えを導くことになる。宮原氏は解説する。「駅前は地価が高いが、利用者は増える。その長所と短所を数字で比べようとすれば、数学的な要素が必要となる」

小論文は一見、国語の一分野のようだが、「自分が持っている知識を総動員して論理的に納得してもらえるように書く。完全に総合的な能力チェックテストだ」。

そのためには、教科を限定しない「総合力」を身に付ける必要がある。それは就職にも直結する学びの姿勢だ。「学研だけでも出版、学習塾や介護施設の運営など複数の仕事がある。これからの社会人には職種転換が求められている」

「苦手を学ぶ」

宮原氏は防大で航空工学を専攻。パイロットを目指したが断念し、貿易商社を経て学研で出版や教育の業界に。現在は医療福祉分野にまで事業を拡大している。

「苦手だからやらないのではなく、苦手だけどやっていくというのが勉強する過程の中で身についてくる。入試に必要ないから勉強しないというのではなく、生涯学び続けなければいけない」

とはいえ、苦手教科のない子供は少ない。「分からなかったとき、先生に質問されて答えられず恥をかいたからとか、必ず苦手になる原因がある。その理由を週末の2日間かけてじっくり話すといったように、つまずいたときにこそ時間をかけてほしい」

例えば、数学なら小学5年の算数を節目に知識や理解の積み上げが始まる。「中2でつまずいたなら、小6まで、小5まで、と分からないところまでさかのぼったら絶対できるようになる」

基礎は読書

学習のベースとなるのは国語力だ。子供のころからの読書量が学力に影響するようになる。幕末の志士、坂本龍馬が好きだった宮原氏は小学5年で司馬遼太郎の歴史小説『竜馬がゆく』に夢中になったという。「漢字だらけでルビも振られていなかったが、一つ一つ辞書を引きながら読んだ」

長文読解など英語と国語には相関関係が指摘される。数学の応用問題も国語の読解力がなければ解答するのは難しい。「最初は好きな本で読書に親しみ、徐々に興味関心のない分野にも挑戦してほしい」

知性の広さや多様さは、小論文や面接で役立つ。入試だけではなく、企業の採用面接でもそうした能力が評価されるようになっている。

「総合力を重視する社会的な潮流はこれからも一層伸びていくだろう」

(玉崎栄次)

宮原博昭(みやはら・ひろあき)

昭和34年広島県生まれ。防衛大卒業後、貿易商社を経て、61年に学習研究社入社。学研エデュケーショナル、学研教育出版の代表取締役社長兼任などを経て、平成22年、学研ホールディングス代表取締役社長に就任。教育と医療福祉を中核とした事業改革を牽引する。著書に『M&A経営論 ビジネスモデル革新の成功法則』など。

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