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たっぷりの地場野菜と信州味噌で味わう煮込みうどん、家族で囲む鍋が由来、おぶっこ 長野 ~自慢の推し麺~

産経ニュース / 2024年5月9日 10時0分

長野市の西部、山に囲まれた西山地区に「おぶっこ」と呼ばれる、平打ちうどんを使った料理がある。稲作が難しい信州北部の里山だったからこそ生まれ、伝えられてきた郷土料理だ。

「おぶっこ」は、集落によっては「ぶっこみ」「ぶちこみ」とも呼ばれてきた。幅が約2センチもある平打ちの太麺と季節の野菜をたっぷり入れ、信州みそを使った煮込みうどん。いろりにかけた鍋にその時々の食材をなんでも入れて、みんなで囲んで食べた家庭料理が由来とされる。

西山地区の中条地域で1年を通しておぶっこを提供している温泉宿「やきもち家」を訪ねた。施設長の小松英樹さん(54)は「中条ではそれぞれの家で小麦も大豆も野菜も作り、そこから、うどんもみそも作ってきました。それぞれの家のおぶっこがあったようです」という。

やきもち家のおぶっこの麺は、長野県産小麦「ユメセイキ」を使っている。幅の広い麺を箸でとり、すするように口に入れると、もちもちとした弾力がありながら、つるりとしたなめらかな喉越しだ。

味のベースとなるみそは地元の気候風土が育んだ逸品。傾斜地ゆえに水はけがよく土壌にも恵まれた中条地域は、地区の名前を冠した「西山大豆」と呼ばれる味の引き締まった大豆がとれる。これを原料に、同じ西山地区の信州新町地域にある醸造場で造ったみそを使っている。塩味が強く、米麹の粒々感を残しているのが特徴だが、おぶっこにすると不思議とまろやかで甘味を感じる汁になる。

具材の定番は、キャベツ、ニンジン、ダイコン、タマネギ、しめじ、カボチャといった地場の野菜たち。冬にはキャベツが白菜に代わる。これに豚肉、油揚げなど。「地域の人たちが『いいのが取れたから』と持ってきてくれて、そのまま仕入れることがよくあります。取れたての一番おいしい野菜です」と小松さん。

実は小松さんは埼玉県出身で、東京・三軒茶屋にあるレストランの元シェフ。料理の食材として西山大豆を知ったことが縁で、中条地域に通うようになり、2年前に移住してきた。

「一見何も無さそうな中条ですが、知れば知るほどいろんなものがあります。都会とのつながりを生かしながら、地域の人たちと一緒に中条の良さと料理を県外の方に伝えていきたい」と話している。(石毛紀行)

やきもち家 長野市中条日下野5286。古民家を移築・改修した大きな茅葺屋根の宿。吹き抜けのいろりや温泉があり、宿から見える雲海の中の里山は日本の原風景そのもの。ランチメニューで「おぶっこ」(800円)と、いろりで作る「灰焼きおやき」がセットになったおぶっこ定食(1千円)などを提供。夜は、地場の食材を用いた創作田舎料理、ジビエ料理など。【問】026・267・2641。

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