欧州歴訪の習氏、セルビアを訪問 反米欧で結束図る
産経ニュース / 2024年5月8日 7時19分
【ロンドン=黒瀬悦成】欧州を歴訪している中国の習近平国家主席は7日、セルビアの首都ベオグラードに到着した。7日はコソボ紛争が激化していた1999年に北大西洋条約機構(NATO)軍が当時ユーゴスラビアの首都だったベオグラードの中国大使館を誤爆し、中国人3人が死亡してから25年にあたる。習氏は大使館の誤爆を米国などNATOを牽制(けんせい)する材料に使いつつ、中露への接近姿勢を強めるセルビアを欧州経済圏に食い込む橋頭堡(きょうとうほ)の一つと見なし、関係強化を進める考えだ。
習氏は7日、セルビアの地元紙に寄稿し、NATOによる誤爆を「決して忘れてはならない」「二度と繰り返してはならない」などとし、「中国とセルビアの友情は両国民の血で築かれている」と強調した。
誤爆を巡っては当時のクリントン米大統領が過失を認め中国に謝罪した。習氏は、誤爆の過去をことさら強調して「歴史カード」に仕立て、米欧の揺さぶりを図るとともに、セルビアとの関係緊密化に活用する姿勢を強めている。
セルビアもまた、コソボ紛争下でのNATO軍、特に米軍による空爆に現在も恨みを抱き続けている。米欧が2008年、セルビアの一部だったコソボ自治州が一方的に分離独立するのを後押ししたことに対する不満も強く、セルビアが中露に傾斜する要因の一つとなっている。
習氏は8日にセルビアのブチッチ大統領と会談し、同国への投資拡大を含む経済関係の緊密化に向けた方策などに関し協議する。
中国とセルビアは、習氏が16年にセルビアを初訪問した際に両国関係を「全面的戦略パートナーシップ」に格上げしたほか、昨年10月にブチッチ氏が北京を訪れた際は、中東欧諸国では初となる2国間の自由貿易協定に調印している。
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