【特別寄稿】米記者がダル偉業を祝福「努力の過程知っているからカブスファンは今でも応援」
スポニチアネックス / 2024年5月20日 13時35分
パドレスのダルビッシュ有投手(37)が19日(日本時間20日)、敵地でのブレーブス戦に先発。7回2安打無失点と好投し、今季4勝目を挙げ、史上3人目となる日米通算200勝を達成。カブス時代のダルビッシュを取材したマーキー・スポーツ・ネットワークのブルース・ラバイン記者が本紙に特別寄稿。偉業を称えた。
カブスには3年間しか所属しなかったし、ケガに加えて新型コロナの短縮シーズンの影響もあり、通算で15勝だ。しかし今月上旬、ダルビッシュは私に「いつシカゴに戻っても、ここのファンは温かく迎えてくれる。応援の声にとてもうれしくなる」と声を弾ませた。
18年、カブス1年目はうまくいかなかった。FAで大きな契約をして期待されたのに、腕のケガで負傷者リスト入り。6月のマイナーでのリハビリ登板は5回1失点だったが、本人は登板後、腕に不快感があり、MRI検査を受けたいと明かした。その取材の後、私は彼の手をしっかり握った。
普段ならそんなことはしないが、私にとってはただの選手以上の存在になっていたからだ。春季キャンプの6週間、彼は通訳に頼らず、自分の英語でシカゴの記者に対応した。私には、彼の投球や考え方を説明するのに特に努力してくれた。感情的なつながりを感じていた。後に彼は他の記者に「手をしっかり握ってくれたあのぬくもりは忘れられない」と明かした。これを聞き、私は素直にうれしかった。カブスでの一番苦しかった時期に、短いけれど意味のある握手に心が慰められていたのだとしたら、と。
18年は8月にもう一度リハビリ登板をしたが、腕の不快感は消えず、手術を受けてカブス1年目は1勝に終わった。19年に復帰。その時トミー・ホットビー投手コーチは「カブスファンは野球選手はケガもするし、不調の時があるのも理解している。そして一生懸命に努力する選手は応援し続ける」と伝えた。その言葉に応え、短縮シーズンの20年は最多勝(8勝)に輝き、サイ・ヤング賞の投票では惜しくも2位だった。
努力の過程を知っているから、ファンはパドレスに移籍した今でも応援する。加えて、攻守の柱となった鈴木と今永がメジャー移籍にあたって、ダルビッシュのアドバイスを受けていたことも知っている。今永は「おかげでメジャーで何が待ち受けているか分かったし、準備ができた」と明言する。だから私たちはダルビッシュのことが大好きだ。心から200勝おめでとうと伝えたい。(マーキー・スポーツ・ネットワーク記者=構成・奥田 秀樹)
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