FRB「5月利下げ」はあるのか? ドル高に調整の可能性も
トウシル / 2024年4月3日 9時55分
FRB「5月利下げ」はあるのか? ドル高に調整の可能性も
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは151.95円
↓下値メドは151.25円
米国債務:米国の対GDP債務がさらに上昇するおそれ。債務削減には長期的な基礎的財政収支の黒字化が必要不可欠だが、米議会はまったく逆方向に進む
株式市場:大統領選挙の年の投票日前後は株高になることが多いが、同時にボラティリティも上昇
米利下げ:FRBが警告「市場は利下げに対して過剰な楽観主義」
FRBに苦言:FRBはソフトランディングに熱中するよりも失われた信頼を取り戻すことに専心するべき
前日の市況
4月2日(火曜)は、ドルが広範に下落した。イースター休暇明けの市場で月曜日ドル高に調整が入った。ドル/円は前日比0.09円の「円高」と、微調整にとどまった。
2024年67営業日目のドル/円は、151.64円からスタートして、東京時間昼過ぎに前日の高値(151.77円)をわずかに超える151.80円まで上昇したが、夜遅くには151.46円まで下げて安値をつけた。終値は151.37円。24時間のレンジ幅は0.34円。狭いレンジ取引が続いているが、高値は3営業日連続で切り上がり、安値は4営業日で切り上がっている。
今日の見通し
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、3月FOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見で「5月利下げもありえる」と述べた。これに対してメスター・クリーブランド連銀総裁(投票権あり)は2日、その可能性を否定した。
今週はFRB高官の発言が多くあるが、今夜(日本時間4日午前1時10分)のパウエル議長に注目が集まる。FOMCまでは5月利下げの予想が今週の相場の材料になるだろう。次回FOMCは4月30日から5月1日に開催される。
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
チャンピオンというのは、高みに到着するまでプレーを続けるものです - キング夫人(プロテニス選手)
Into The Groove
FOMC(米連邦公開市場委員会)は3月19から20日に開催した定例会合で、主要政策金利であるFF金利を5.25-5.5%の範囲に据え置くことを決定した。決定は全会一致。金利据え置きは5会合連続となる。
FOMCは、2020年3月以来となる利下げを今年踏み切る方針に変わりがないことを示唆した。FOMC参加者の予測中央値(ドットチャート)によれば、2024年に0.25ポイントの利下げを3回実施すると予想している。これは昨年12月の予想と同じだ。
しかし内訳をみると利下げ0.50ポイント支持は9名、0.75ポイント支持は10名と僅差で、メンバーの1名でもタカ派に転向したならば、利下げは2回に変わってしまう。2025年の利下げ回数については3回と、昨年12月時点での4回から減っている。
そもそも、ドットチャートは、単なる平均であってFOMCメンバーの総意ではない。数名が予想を変えただけで簡単に利下げが減ったり増えたりするのだ。来年の利下げ回数の減少は、FRBがインフレ抑制のためにタカ派に構えているというよりも、アメリカ経済が高金利に耐えられるほど強いと捉えるべきなのである。
FOMCは3月の会合で、コアインフレ率については2.6%と従来予想(2.4%)から引き上げ、成長率についても2.1%と従来予測(1.4%)から引き上げた。24年の失業率については4%と、従来予測(4.1%)から若干引き下げた。
政策金利は据え置きで中立だったが、ドットチャートはタカ派的だった。しかし、パウエルFRB議長の記者会見が始めると、一転してハト派的な雰囲気になった。パウエルFRB議長は1月と2月のCPI(消費者物価指数)が上昇したことについて、インフレ率が下がる道は平坦ではないとして、最近のデータで政策方針を見直すことはしないと語った。
パウエル議長は、会合から会合の間に事態は起こり得るとして、もし成長率が大幅に鈍化すれば、利下げに踏み切る可能性があると述べた。パウエル議長は、5月利上げの可能性も完全に否定していない。
今週の注目経済指標
今日の重要ブレークアウトレベル
コーンチャート分析
(荒地 潤)
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