介入ない、米利下げもない、円は160円に向かって沈没中
トウシル / 2024年5月9日 9時57分
介入ない、米利下げもない、円は160円に向かって沈没中
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは156.10円
↓下値メドは154.65円
日銀損失:国債金利1%の金利上昇で40兆円の評価損が発生
ウクライナ戦争:ロシアがウクライナから奪った領土を返還することが、最も可能性の高い結末
ドイツ経済苦境:ECB利下げ見送りはドイツ製造業をさらに悪化させるだけ
BOE:ディングラ委員「行き過ぎた引締め政策で英経済がハードランディングするリスク」
すでに緩和?:FRB「米国の金融状況は、利上げを始めた時よりも緩和状態」
前日の市況
5月8日(水曜)のドル/円相場は前日比1.17円の「円安」。毎日1円、4日連続で円安が進んでいる。
「市場が健全に機能し、投機による過度の変動がなければ、介入する必要はない」。神田財務官がこのように発言したと一部メディアが報じたことで介入警戒感が薄らいでいる。植田日銀総裁は「円安は今のところ物価上昇率に大きな影響はない」との考えを示すと、鈴木財務相は「円安にはプラス面もある」と述べ、危機感は全く感じられない。
介入はあくまでも円安の速度調整のためのスムージング・オペレーションであって、円安を阻止したり相場の方向を変えたりするのが目的ではなかったことが明らかだ。政府日銀の発言は、緩やかな円安はむしろ好ましいとの印象を与えている。
バイデン大統領の支持率が下がっているのは、米国民の「インフレに対する不満」が大きな理由という世論調査がでた。米大統領選に向けてこれ以上トランプ氏にリードを広げられたくないバイデン陣営とすると、インフレの再燃は最悪だ。FRB(米連邦準備制度理事会)の「利下げ」は政治的にも微妙になると、日米金利差縮小は当面期待できない。なおトランプ氏は、自分が大統領選になれば「パウエル議長を再任しない」と述べている。
2024年93営業日目のドル/円は、154.54円からスタート。円売り需要が相変わらず旺盛というか、円買い需要がゼロというべきなのか、この日も安値は東京時間朝につけた154.51円までとほとんど下がることはなかった。当局の円安けん制発言はスルーされ、昼前に155円台に乗せると夜遅くには155.68円まで円安に動いた。終値は155.61円。24時間のレンジ幅は0.92円。
主要指標 終値
日の為替ウォーキング
今日の一言
成功するためには、天才である必要はないし、先見の明を持つ必要もない。大学を卒業している必要すらない。必要なのはフレームワークと夢さえあればいいんだ。 - マイケル・デル
The Logical Song
FOMC(米連邦公開市場委員会)は5月の会合で、政策金利であるFF金利を5.25-5.50%の範囲に据え置くことを決定した。
会合後の記者会見でパウエルFRB議長は、インフレ低下の進展具合に不満を示し「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、金利引き下げが適切になるとは予想していない」との考えを示したが、一方で「次の動きが利上げになることはない」とも述べて、タカ派姿勢をさらに強めることはなかった。
今回パウエル議長が、「物価の安定」だけではなく、FRBのもうひとつのマンデートである「雇用の最大化」に言及したことは重要である。これは、FRBがインフレへの挑戦だけではなく、経済成長とのバランスを考える段階に来たというメッセージだ。これまでの「経済を犠牲にしてもインフレを抑制する」というスタンスから、インフレをある程度まで容認しても経済が悪化しすぎないように「金利を引き下げる方向」へ政策を調整することを示唆している。
FOMCの2日後に発表された5月の米雇用統計では、失業率が3.9%に上昇して、NFP(非農業部門雇用者)は17.5万人の増加にとどまり、前月の31.3万人増を大きく下回った。雇用統計の結果は、FOMCの政策方向は、「利下げ」か「利下げなし」かの二択を示している。現時点で「利上げ」の可能性は低いと考えられる。
今週の注目経済指標
今日の重要ブレークアウトレベル
コーンチャート分析
(荒地 潤)
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