5月以降の米国株は意外に底堅く推移しそうだ インフレや長期金利上昇懸念はどこまで深刻か
東洋経済オンライン / 2024年4月30日 10時30分
3月末に配信したコラム「『今の米国株はITバブル時に近い』は本当だろうか」では、同国のFRB(連邦準備制度理事会)に対する「株式市場の信認は簡単に崩れない」とした。その一方で、企業価値評価の観点からは「1990年代後半のITバブル時のように予想PER(株価収益率)がさらに拡大することは難しい」と述べた。
今後もFRBへの「市場の信認」は保たれる
実際、4月に入ってからの米国株は、割高感が意識されていたハイテク大型株などを中心に3週連続で下落。第4週は反発したものの、同月19日時点では、S&P500種指数の年初来騰落率は+4%程度まで低下した。
金利上昇や中東情勢の緊迫化が嫌気される中で、2023年までの株高を牽引してきたテスラやアップルなどの株価下落が目立った。市場では、アメリカを代表する大型IT株の代名詞とされてきた「マグニフィセント7」から、これらの2銘柄が脱落したとも言われている。
5月以降、年後半にかけての米国株の方向性を考えるうえでは、やはり国債市場で同国の長期金利が2023年10月時(一時5%超)のように、再び上昇するかが重要だ。
もしFRBによる利下げが秋口をすぎても困難だということになれば、政策運営に対する株式市場の信認が揺らぎ、経済・インフレへの不確実性が高まるため、米国株は再度下落を余儀なくされるだろう。
ただ、そうした可能性は低いのではないか。既述のように、株式市場の信認は今後も保たれると考えているからだ。筆者は、夏場から利下げを促すような経済指標が発表され、FRBが9月に利下げを開始すると予想している。実現するかどうかは、経済の安定成長が続く中で、やはり1~3月に想定よりも上振れたインフレが再び落ち着くか、それ次第である。
確かにアメリカの高インフレは、簡単には落ち着かないとの見方も根強い。実際に2023年後半には年率2%程度まで減速していたコアインフレ率(エネルギーと食品を除いて算出)は、2024年1~3月期に再び年率3%以上に加速している。
アメリカの高インフレが続く可能性は高くない
これをどうみればよいのか。同国の消費者物価の内訳を見ると、「家賃以外のサービス価格」が再び上昇したことが、インフレ上振れの主たる要因である。
もし、サービス価格の高まりが「アメリカ経済が強すぎる」ために起きているなら大きな問題である。だが、1~3月期のアメリカの国内需要は総じて安定に向かっている。個人消費は2023年後半には年率3%を超える伸びだったが、2024年に入って同2%台の伸びに落ち着いている。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
なぜ岸田首相は「空前の為替差益」を使わないのか 円安ドル高はどうやら転換点にさしかかった
東洋経済オンライン / 2024年5月14日 8時30分
-
焦点:米国市場、FOMC後も動揺続く恐れ 指標の注目度高まる
ロイター / 2024年5月2日 16時52分
-
日本株は「軟調な展開」も、上昇すると予想。業績相場に入ることで下値は限られそう ~マーケットの振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月2日 14時25分
-
「値上げ地獄」はまだまだ続く…日経平均「史上初の4万円超え」でも景気がちっとも良くならない本当の理由
プレジデントオンライン / 2024年4月30日 9時15分
-
日本株には「超強気」だが…経済の専門家が米国株の「バブル化」を警戒する理由
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月26日 9時15分
ランキング
-
1消えゆく「回転レストラン」…80年代には全国50店→再開発・老朽化で数店舗に
読売新聞 / 2024年5月18日 15時0分
-
2農林中金が1兆円規模の増資検討…米金利高で外債の含み損拡大、5000億円赤字の見通し
読売新聞 / 2024年5月18日 23時10分
-
3「定年コロリ」という言葉も…長年のシフト勤務が〈睡眠の質〉や体に及ぼす影響は?【スタンフォード大教授が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月18日 17時15分
-
4東京から新幹線…「新神戸」よりも、一駅先の「西明石」まで買った方がおトク!? JR往復割引「601キロ」のカラクリ
まいどなニュース / 2024年5月19日 8時2分
-
5“スーパー化”するドラッグストア 野菜や肉・魚のほか店内調理のパンや総菜も並ぶ 専門家「男性顧客も視野に入れて食品を強化か」
MBSニュース / 2024年5月18日 13時20分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください