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ミネベアミツミ「瀬戸際のスマホ部品」挽回の裏側 かつての稼ぎ頭が携帯電話から車載へ構造転換

東洋経済オンライン / 2024年5月1日 7時40分

極小ベアリングで世界シェア6割を握る。ニッチ分野での多角化戦略も進める(撮影:今井康一)

かつての「エース」製品は、復活を遂げるのか。精密部品大手のミネベアミツミが、車載用バックライト事業の拡大を進めている。直近の部門売上高は約250億円程度だが、これを2028年度に1000億円(スマートフォン用などを含む)を目指す。

【画像】液晶ディスプレーに欠かせない、スマホと車載用のバックライト

「高級車用途で、7年累計で1000億円のプロジェクトを受注しました」。ミネベアミツミの貝沼由久会長兼CEOは昨年8月、決算説明会で懸案だったバックライトについて力強く語った。2025年モデルから採用が始まり「ほかの高級車でも受注できると思う。バックライトの生産が増えていくと、工場をさらに建設する必要がある」とも述べた。

2023年3月期のグループ売上高1兆2922億円、営業利益1015億円の中でバックライト事業の存在感はいま一つながら、「ニッチ分野で多角化経営」を掲げる同社にとって、今回の構造転換は重要な意味を持つ。

有機ELの台頭で急失速

2017年1月にミネベアとミツミ電機が経営統合する直前まで、旧ミネベアの成長柱はスマートフォン向けLEDバックライトだった。2017年3月期の売上高6389億円のうち、バックライトは約2000億円を占めていた。

バックライトは液晶を照らす部品で、ミネベアミツミは世界最薄クラスの技術力を保有する。最盛期はスマートフォンの上位機種向けで世界シェア約8割を握っていた。“我が世の春”を謳歌する中、曲がり角は突然訪れる。最大の取引先である北米メーカーが、新モデルのディスプレーに有機ELを搭載する方針を固めたのだ。

自発光の有機ELにバックライトは不要。同事業の黎明期から関わってきたモーター・ライティング&センシング事業の志村宇洋本部長は「何か対策を打たなければ、事業がなくなる可能性もあった」と振り返る。

バックライトはスマホのディスプレー裏側に配置し、LED基板から発した光を各種フィルムに通過させ、液晶を均一に照らす仕組み。当時の技術では、光源部分は画面の表示面積を削らねばならず、全域をディスプレーとして活用できる有機ELに劣っていた。

同社は、液晶パネルやLEDの国内メーカーなどとコンソーシアムを結成。共同研究で小型化を進め、上記の課題を克服した。北米メーカーは2017年発売のモデルで有機ELを採用したものの、翌年以降はしばらく機種のグレード別で液晶と併用していた。

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