イーロンによるツイッター買収最大の罪とは フランシス・フクヤマ「未来は絶望か希望か」
東洋経済オンライン / 2024年5月4日 20時30分
「世界最高の知性」の一人とも言われるフランシス・フクヤマ氏。ベルリンの壁崩壊、冷戦の終結など、世界史の大きな転換点となった1989年、彼は、西側諸国の自由民主主義が、人間のイデオロギー的進化の終着点なのではないかとの見方を示した。しかし2020年代、世界は歴史の針を戻したかのような出来事に直面している。さらに人工知能などのテクノロジーも飛躍的に発展し、歴史は新たなフェーズへと突入した。この時代をフクヤマ氏はどうとらえているのか。『人類の終着点 戦争、AI、ヒューマニティの未来』(朝日新書)に収録されたフクヤマ氏の未来予測を公開する。
テクノロジーは、自由民主主義に貢献できるのか?
――あなたは、情報技術の開発が、人間の本質と政治的な秩序に何をもたらすのか考えてこられました。人が考え、意思疎通をすることで、政治的な行動に関与するときには、言葉がカギになります。言論の自由を確保することは、自由民主主義社会の最も大事な要素です。ですが、AIや生成AIのような新しいテクノロジーが開発されて、人類は真の意味で自由になったとは言えないかもしれません。巨大テクノロジー企業、または中国やロシアのような権威主義的な国に力が集中して、むしろ状況は悪化していくという予想もあります。
あなたは、様々な問題を一度に述べました。整理してお話ししましょう。
まず1つ目の大きな問題は、インターネットそのものです。
情報の流れは、かつて特定のエリート層によって管理されていました。かつては、メディアや企業、もしくは政府が、政治に関するニュースや情報の選別や認証をする役割を担っていました。しかし、その役割は過去のものになりました。なぜなら、今は、誰でも好きなことを表現できるようになったからです。なので、以前のように、事実に関する情報に同じような信頼を置けなくなりました。
ワクチンの接種拒否を例にしましょう。20年前では、社会の縁以外では問題にすらならなかったでしょう。しかし現代では、共和党が「ワクチンは健康に悪い」と主張しています。馬鹿げた見解ですが、いまだにそう信じています。かつては大きな権威が、「何が大事な情報で、何がそうでないのか」を伝えてくれていました。そうした信頼性が失われた世界でのみ、こうした主張は可能になります。これが、問題の一つの側面です。
そして、2つ目の問題は、ソーシャルメディアの武器化です。ソーシャルメディアでは、特定のグループをターゲットにして、以前よりも洗練されたやり口で、人々が揺さぶりをかけられています。
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