中性子星で暗黒物質の存在を特定できる可能性 メルボルン大の研究
財経新聞 / 2024年4月20日 17時20分
宇宙は目に見える物質と目に見えない存在でできている。目に見える物質の質量比率はたった5%で、残りの95%は目に見えない存在である。28%は暗黒物質、67%はダークエネルギーと呼ばれる仮想上の存在で、これらを仮定しなければ、宇宙の観測事実を説明できない。
この目に見えない存在の暗黒物質について、メルボルン大学の科学者らは、中性子星の観測により、その存在を確認できるかもしれないという研究成果を発表した。
暗黒物質は、光や電磁波と反応せず、重力としか反応しない。このため光学望遠鏡や電波望遠鏡では観測ができない。これが暗黒物質の検出を難しくしている理由だ。
暗黒物質の存在を確かめるための様々なアイデアが、世界中の科学者らによって検討されているが、強い重力源が暗黒物質検出の手掛かりになる。その有力候補として今回取り上げられたのが、中性子星だ。
中性子星とは、太陽質量の8から10倍程度の恒星において、核融合の最終段階で形成される星だ。もう少し質量が大きな恒星は最終的にブラックホールになるが、ブラックホールに暗黒物質が吸い寄せられたとしても、その熱による光はブラックホールから出られない。だが中性子星ならば、暗黒物質を発する熱による光が地球まで届く可能性がある。
中性子星はブラックホールほど重力は強くないが、太陽ほどの質量が直径20km程度の球体に押し込められた非常に強い重力源だ。
今回の研究では、中性子星の強力な重力に捉えられた暗黒物質が発熱するケースを想定し、熱平衡状態に達するまでの時間を検証。その結果、暗黒物質の特性が等方的な場合、約1万年程度、指向性を持つ場合、約1年であることが判明したという。どの場合においても、熱平衡に要する時間は、宇宙の時間スケールを考えれば、ほんの一瞬だ。
つまりこの一瞬の瞬きともいえる時間に、通常よりも高温の中性子星を捉えられれば、それが暗黒物質による瞬きなのだ。もしもこのような中性子星を捉えられれば、ノーベル賞に値する発見になることは間違いない。
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