仮面ライダーウィザード最終回に、仮面ライダーの本質をみた。
インフォシーク / 2013年10月1日 17時30分
私のような仮面ライダーについて気軽かつ徒然なるままに書いている立場でも、仮面ライダーウィザード最終回(9月29日放映)について書くとなると、多少プレッシャーがあるものだ。しかも今回のように難解なストーリーが展開されると、はたして何を書けばいいのかなぁ…と頭の中にテーマが駆け巡ってしまう。
放映中、頭の中を駆け巡ったテーマを、まずは紹介したい。実際に放映を見た方は、ところどころで共感するかもしれない。
「最近の仮面ライダーはCG化がスゴイ件」
「平成仮面ライダーが、なんだかウルトラマン兄弟のようになっている件」
「仮面ライダーガイム鎧武が、やけに軽い奴の件」
「過去の仮面ライダーが、もはやエキストラになっている件」
「仮面ライダーフォーゼの走り方が、女の子走りだった件」
「平成仮面ライダーのバージョンアップ最終型のビジュアルが、もれなくイマイチに見えた件」
「最終ボスの田口トモロヲの演技が熱すぎる件。…ときどき何を言っているのかわからなくなった件」
「最終回が、仮面ライダービーストの存在を忘れたまま終わってしまった気がする件」
「仮面ライダーウィザード最終回が、時間をかければ深い映画になりそうだった件」
「仮面ライダーシンのビジュアルが、いつ見ても斬新すぎる件」
…どれも深掘りできそうだ! が、どうも最終回に似つかわしくないような気がする。
困ったものだ。最終回はもっと深いテーマで書きたいものだ。いや、ストーリーは深かったのだ、ただ私にとって難しいストーリーだったのだ。
そんな最終回で、心に残るセリフがあった。このあたりを紹介しよう。
「怪人に変身すれば、良いことも悪いこともわからなくなる」
そもそもウィザードの最終回は、ウィザードが現実の世界とは違う世界に入り込んでしまったところから始まっている。
その世界では、人間はみんな大人になったら怪人になる。つまり怪人が世の中のスタンダードで、怪人になれなかった人間は異端児、はみだし者というわけなのだ。
そんな世界に、なぜかスタンダードの怪人になることを拒む子供たちが現れる。
これはおかしな話なのである。こっちの世界のスタンダードが人間であれば、あっちの世界のスタンダードが怪人。それだけの話である。しかしその子供たちが拒んだ理由が、このセリフなのだ。
「怪人に変身すれば、良いことも悪いこともわからなくなる」
…ドキッとしないだろうか。
これはこっちの世界でも…人間の世界でも同じなのである。大人になれば…良いことも悪いこともわからなくなる。
正確には、大人になると、自分が傷つかないように、色々なことを無かったことにする。わざと自分の感覚を麻痺させて。
…怪人と同じかもしれない!
そもそも世の中のスタンダードを拒む者が現れたって、おかしくない。今までの歴史を振り返ると、スタンダードに疑問を持った人間が、歴史を変え、自由を創りだし、後世に渡してきた。だから、もしもこの子供たちをおかしいと思ったのなら、いつの間にか怪人になってしまった自分を、少し恥じるべきなのかもしれない。
もう一つ、心に残るセリフがあった。
「仮面ライダーは正義のために闘うんじゃない。仮面ライダーは人間の自由のために闘うんだ」
意外ではなかろうか。つくづく考えさせられる。
私たちは勘違いしているのだ。正義という言葉を自分勝手に解釈して、その名のもとに、つまり「正義のために」という名目のもとに、誰かの自由を束縛したり、誰かを意図的にどこかへ導いてしまうシーンがないだろうか。
歴史上の出来事にもたくさんあるし、日常的にも、学校にしろ、会社にしろ…もしかしたら、もっともっと大きなものにしろ、あるのかもしれない。
違うのだ。正義なんてものは曖昧で、実は誰もが自分が正義と思い込んでいて、よっぽどしっかりと考えないと間違う可能性がはるかにはるかに高いものなのだ。
それよりも何よりも、軸は自由を失わないことだ。
自由とは、ワガママではなくて、やりたい放題ではなくて、存在の意味であり、心の在り方であり、ビジョンである。
ここに、今回の最終回のメッセージが込められているように思えた。
最終回だからと、いきなり真面目なことを熱く書いてしまったが、仮面ライダーウィザードの一年間の放映を経てつくづく感じたのは、仮面ライダーを通して描かれたメッセージはおおかたが自由に対してのものであり、大人はそれを受けとめ、子供は感じてみる、という仮面ライダーとはきっと元来そういうドラマなのだろう、ということだった。
来週からは、仮面ライダーガイム鎧武が始まる! 斬新な世界に期待したい!
1973年1月生まれ。芸術家。ライター。MC。芸術活動のかたわら、仲間と協力してゆるゆる映画応援サイト「ガッケンターサイト」の運営や、映画監督や俳優もゲスト出演する「ガッケンターTV」(インターネット)の製作、映画の宣伝などをしている。
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