UFOでロボで合体…! 「グレンダイザー」のパイロット版『宇宙円盤大戦争』を観よ!
マグミクス / 2024年4月14日 6時25分
■当初は「マジンガー」とは全くの別企画
2024年にTV放送が予定されている『グレンダイザーU』は、海外でも広く知られるスーパーロボットアニメ『UFOロボ グレンダイザー』(1975年)のリブート版です。
「マジンガー」シリーズ第3弾にあたる同作はTV放送に先駆け、おなじみ「東映まんがまつり」にてパイロット版が上映されました。それが『宇宙円盤大戦争』です。設定はほとんど同じですが、メカや物語展開に微妙な違いがありました。
『宇宙円盤大戦争』はもともと『マジンガーZ』シリーズとは関係なく、1970年中頃のいわゆるUFOブームに乗っかった企画でした。企画途中でダイナミックプロが参加し、のちの『UFOロボ グレンダイザー』に繋がっていきます。
『宇宙円盤大戦争』のあらすじは、「ヤーバン大王」に故郷の「フリード星」を滅ぼされた主人公「デュークフリード」が、円盤型メカ「スペイザー」と巨大ロボ「ロボイザー」が合体した「ガッタイガー」に乗って脱出、地球に落ちのびて、「宇門源蔵博士」(テレビ版とは全く違うデザインです)の養子となり、「宇門大介」として生活するというものです。メカを除き、これらの基本設定はほぼ『グレンダイザー』と同じです。
ただその物語は、『ロミオとジュリエット』を彷彿とさせる、悲恋の物語でした。「ガッタイガー」を取り戻すべく、ヤーバン大王は実の娘である王女「テロンナ」を地球に派遣します。テロンナとデュークフリードは幼なじみで、かつては相思相愛の関係でもありました。ふたりは愛し合いながらも、敵味方に分かれて戦わなければならなくなります。
地球を訪れたテロンナは、デュークフリードが、宇門大介として身を寄せている牧場の娘「牧野ひかる」と仲良くしているのを見て嫉妬し、ヤーバン軍を使ってひかるを人質にとり、デュークフリードにガッタイガーを引き渡すよう要求しました。
デュークフリードは、ひかるのためにアイテム「スターカー」を使って、地下に隠していた「ガッタイガー」を呼び出します。ひかるのためなら大事な「ガッタイガー」もあっさり引き渡すデュークフリードの行動に、テロンナの嫉妬心はさらに燃え上がるのでした。
といっても、「東映まんがまつり」の観客である子供たちには、テロンナの心理はピンと来なかったのではないでしょうか。そして、デュークフリードを憎みきれないテロンナは、デュークフリードをかばって命を落とします。
■「ロボイザー」から「グレンダイザー」へ
左上の隅っこに「ガッタイガー」が…『マジンガーZ』50周年の一環で2023年に発売された「MAZINGER THE MOVIE Blu-ray 1973-1976 4Kリマスター版」(東映ビデオ)
『UFOロボ グレンダイザー』で富山敬さんが演じているデュークフリード役は、『宇宙円盤大戦争』においては、主題歌も担当したささきいさおさんが務めています。
『宇宙円盤大戦争』と『UFOロボ グレンダイザー』の最大の違いは、メカデザインです。「ガッタイガー」や「ロボイザー」のデザインは、美術の辻忠直氏が担当しています。「グレンダイザー」のデザインは「マジンガーZ」「グレートマジンガー」と同様に永井豪先生が担当し、「マジンガー」シリーズとの統一感が生まれました。
もともとは『マジンガーZ』シリーズとは別企画だったせいか、『UFOロボ グレンダイザー』にレギュラー出演していた「兜甲児(『マジンガーZ』主人公)」も『宇宙円盤大戦争』には登場していません。『UFOロボ グレンダイザー』のパイロット版という位置づけながら、ひとつの独立した作品としての『宇宙円盤大戦争』にも味わい深いものがあります。
同作が公開された1975年夏の「東映まんがまつり」では、『仮面ライダーストロンガー』『がんばれ!!ロボコン』『秘密戦隊ゴレンジャー』などが併映されています。ほとんどがテレビをそのまま映画用に再編集した内容だったところを、『グレートマジンガー対ゲッターロボG 空中大激突』と『宇宙円盤大戦争』だけはオリジナル作品でした。特にテレビでお馴染みのヒーローが集結することの多い「まんがまつり」のなかで、今まで見たことのないメカの「ガッタイガー」と主人公「デュークフリード」は新鮮でした。
同年の10月から『UFOロボ グレンダイザー』が放送されて、はじめて『宇宙円盤大戦争』が元になっていたと気が付くのですが、それは夏の「東映まんがまつり」を観に行った子供だけが知っている事実でした。ひと足早く新ヒーローを知ることができたことを知り、特別な思いを抱きました。
なお、当時は「東映まんがまつり」のコンテンツがテレビ放送されることは滅多にありませんでした。そのため『宇宙円盤大戦争』は長らく日の目を見ることがなく、初めて商品化(セルビデオ)されたのは劇場公開から11年後のことでした。2024年現在は劇場版「マジンガー」シリーズの1作品として各種映像ソフトに収録されているほか、配信サービスでも観ることができます。
(LUIS FIELD)
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