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【自民党・内部報告書入手】業界への補助金バラ撒きを進めて「組織票」頼みの解散・総選挙に踏み込む岸田首相

NEWSポストセブン / 2024年5月9日 10時59分

自民党支持団体はどれだけの集票力を持つのか(岸田文雄・首相/時事通信フォト)

 自民党の支持率が低迷するなか、岸田文雄・首相が目論んでいたとされる「6月解散」に黄信号が灯ったように見える。ところが、崖っぷちのはずの岸田首相は“伝家の宝刀”を抜くため、密かに準備を進めていた。その証拠となる内部報告書を入手した。【前後編の後編。前編から読む】

 岸田首相には、自民党の組織票を動かす「奥の手」がある。それを発動していた。本誌・週刊ポストはそれを示す自民党の内部資料を入手した。

 自民党組織運動本部団体総局が3月に作成した〈令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】〉と題するA4判31ページの文書だ。文書は自民党の「票とカネ」を根幹で支える業界へのバラ撒きを示すものだ。

 内容を個別に見ていくと、日本医師会などは診療報酬引き上げ、建設コンサルタンツ協会は公共事業費の確保など、各団体が予算や補助金の増額、業界への税制優遇を求める要求のオンパレードで、ほぼ“満額回答”だ(リスト参照)。そして、これらの団体は選挙において“組織票”となるというわけだ。

解散前の人事で勝負

 これらの団体はどれだけの集票力を持つのか。

 有力な団体は、自民党の参院の比例代表に「組織内候補」を擁立し、議員を送り込む。組織内候補の得票数(2022年参院選)を見ると、日本医師会、日本歯科医師会、日本看護連盟など医療系団体は約69万票、全国郵便局長会は約41万票、農政連など農協系は約18万票と巨大だ。

 自民党が何度も政治とカネの不祥事を起こし、国民の怒りを買っても政権を維持できるのは、補助金(カネ)と票のギブ・アンド・テイクで結びついたこれらの団体の「組織票」があるからだ。

 岸田首相は業界団体へのバラ撒きを進めることで、「組織票」を頼みに解散・総選挙に踏み込もうとしている。

 4月末の補選全敗を受けて、岸田首相側近の木原誠二・自民党幹事長代理は「いま自民党は非常に厳しい状況だ。(総選挙になれば)政権交代が起こってもおかしくない」と語ったが、その真意は別にある。

「自民党が政権を失うと業界団体は困る。木原さんは総理の意を汲んで、業界団体の危機感を煽ることで総選挙で組織票をフル動員させようとしている」(岸田側近)

 官邸では国会閉会後に内閣改造と自民党役員人事を行なって人事一新し、「総選挙シフト」を敷くプランが練られている。官邸スタッフが言う。

「岸田首相が警戒しているのは大臣たちの解散への抵抗だ。閣僚で解散に強硬に反対しそうな大臣を全員交代させておく必要があると考えている」

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