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「今の会社をすぐ辞められますか」→「はい、もちろんです」では即落とされる…受かる人の"模範回答"

プレジデントオンライン / 2024年5月9日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tadamichi

「前職は円満退社でしたか」「今の会社をすぐ辞めることはできますか」……。転職面接で、答えにくい質問、無茶振りの質問をされた場合は、どう答えればいいのか。キャリアカウンセラーの中谷充宏さんは「こうした質問への回答は、会社や上司に責任転嫁したり、自分勝手ととられたりする回答にならないよう、気を付ける必要がある」という――。(第6回/全6回)

※本稿は、中谷充宏『20代~30代前半のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

■前職は円満退職でしたか?

【面接官が知りたいのはココ!】
円満退社が望ましいが、「そうでなければダメ」ではない
多少の問題なら許容範囲だが、反省とけじめを語ってね

円満退職なら、そのまま事実を伝えれば良いでしょう。

問題は、そうでなかった場合です。

たとえば上司と大口論の末オフィスを飛び出したまま、貸与品なども返還せずに退職してきたような場合、応募者にトラブルメーカーの傾向があるということで、面接官も怖くて採用できません。

しかし多少のいざこざがあった程度なら、OK例のように、表現の工夫でクリアできます。

たとえば「あのときは感情的になりすぎ、非常に反省しています。来週早々、会社に非礼を詫びに行くつもりです」と反省の弁を述べた後に、関係修復策について語るなどして、きちんとフォローすれば良いのです。

また、円満退社でなかった理由を「会社が悪い」、「上司が悪い」と責任転嫁しても、面接官にとっては聞き苦しいだけです。

多少なりとも自分に非があったなら素直に認め、真摯に反省の弁を述べた方が潔くて、面接官の心証も良くなります。

たとえばこういう人の場合

25歳男性、大卒。新卒入社した会社に勤務中。今回は初めての転職で同業種・同職種への応募。

NG!
「あそこは超ブラックでしたので、私に限らず円満退社など無理でした」

↑誹謗中傷のような話は、聞き苦しいだけです。

OK!
「残念ながら円満退社ではなかったです。退職当時、直属の上司である課長と非常にギクシャクしていて、これが退職理由のメインでした。未だに釈然としない思いを引きずっているというのが、今の私の偽らざる気持ちです。
ただし、いろいろありましたが、前職の会社には右も左も分からない私を一人の社会人に育てて頂いたことを、本当に感謝しています。
今はまだ退職時のゴタゴタによる気持ちの整理がついていませんが、これは時間が解決してくれると思っております。
この先転職が決まり、自分の気持ちが落ち着いたら、課長にはきちんとお礼のメールをお送りし、しっかりけじめをつけたいと思います」

↑円満退職でないことを正直に答えた後、本音や前職への感謝の気持ち、転職後の関係修復策に触れることで、素直さを感じ取ることができます。

■今の会社を、すぐ辞めることはできますか?

【面接官が知りたいのはココ!】
「はい、すぐ辞めます」は求めてないからね
できるだけ早い時期で実現する入社計画を、具体的に聞きたい

無難な質問よりも、こういった無茶振りの方が応募者の本性をつかみやすいので、あえて偏ったこの質問で、応募者の即応力を測ってみたい。面接官はこう思っています。

良かれと思って「はい、御社で働きたいので、今すぐ辞めます」と回答すると、現職の仕事を放り出す無責任で自分勝手な人ととられ、悪印象になるので注意してください。

確かに、次の転職先に自分の気持ちが移り、現職がおざなりになるのは分かりますが、現職の引き継ぎや残務処理をしっかりしない自分勝手さが前面に出すぎるのは、当然ながら問題です。

面接官も、すぐ辞めるのが難しいことはちゃんと分かっていますから、たとえば、「今すぐは在職中なので難しいですが、内定を頂きましたら、できるだけ早く入社できるように今の職場と調整してみます」と、縮める努力をする気持ちがあることと、できれば現実的にどれくらいの期間があれば退職が可能なのかを、きちんと語ってほしいと思っています。

たとえばこういう人の場合

34歳男性、大卒。現在まで3社に勤務。現職は5人の部下を持つマネジャー職。今回は4社目の転職で、同業種・同職種への応募。

NG!
「はい、もちろんです。現職はできるだけ早期に辞めたいと思っていますので」

↑現職に配慮がない、自分勝手ととられる発言は慎むべきです。

OK!
「申し訳ございませんが、今はまだ在職中のため、すぐには退職できません。
現職では申し出てから実際の退職まで約1カ月必要です。
もちろん御社の入社タイミングについて、もっと早い必要があれば、現職と相談の上で可能な限り調整します。
ただ、私も現職ではマネジャーという管理職ポジションに就いております。
自分の任務をきちんと遂行してきた自負がありますし、去り際をいい加減にしたくはありません。
しっかりと業務引き継ぎを終えた上で、気持ちよく御社に転職したいと考えております」

↑今すぐには退職できない理由と共に、期待に応えようとする姿勢を感じられます。去り際やプロ意識について語ることにより、自分勝手さを排除できています。

握手をするビジネスマン
写真=iStock.com/kyonntra
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kyonntra

■不採用になったら、どうしますか?

【面接官が知りたいのはココ!】
動揺せず、逆手にとってPRできる?
別の角度からの志望動機を聞いてみたい

これは意地悪な質問で、特に応募企業への志望度が高いと動揺してしまうでしょう。

しかし、どんな圧迫系質問も「冷静に切り返す力」を見るためです。動揺している暇はありません。

面接官は、既述の志望動機とは違った角度から、当社への熱い思いをぜひ伝えてもらいたいと思っています。たとえば、「御社の○○製品を、自らの手で売ってみたいという思いで今回、営業職に応募しました。今は何が何でも御社の営業職で働きたいという強い気持ちで、この面接に臨んでいます。ですので、不採用になったら非常に残念としか言いようがありませんし、申し訳ございませんが、今はそのことまで頭が回りません」というように、志望動機などを交えて、応募企業への思いを語ってほしいのです。

逆に言うと、ここは再度、応募企業への思いや志望動機を語れるチャンスなのです。

仮の話を額面通りに受け取って、「残念ですが、そうなったら他を探します」といった回答をするようでは的外れだし、せっかくのチャンスをみすみす逃していることになります。

たとえばこういう人の場合

26歳男性、大卒。新卒入社した会社で勤務中。今回は2社目の転職で、異業種・異職種への応募。

NG!
「残念ですが、仕方がないですね。幸い他社の選考が進んでいますし~」

↑現実的な回答ですが、淡白すぎて応募企業への熱意が感じられません。

OK!
「先ほども申した通り、私は御社が第1志望で、御社で働いてみたいという思いが強く、今は不採用になった場合について具体的に考えるのはつらいというのが本音です。
だから今のこの面接の時間を1秒たりとも無駄にせずに、精一杯自分をPRし、また御社への思いをしっかりとお伝えしたいと思います。
ベストを尽くした結果、ご縁がなかったなら、そのときに改めてどうするか考えます。
大変申し訳ありませんが、今はそのような最悪な事態は想定したくないし、想定すべきでない、というのが私の答になります」

↑動揺せず冷静に、自分の考えを語ることに成功しています。また応募企業への入社意欲の高さをしっかりとアピールできていて、模範的な回答になっています。

■あなたの素晴らしい経験やスキルは、当社では活かせないと思いますよ?

【面接官が知りたいのはココ!】
高スペックについては、謙遜も誇示も不要だよ
なぜ当社で働きたいの? 何をしたいの?

この質問は、募集要項よりオーバースペックな人に対して出されます。

中谷充宏『20代~30代前半のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)
中谷充宏『20代~30代前半のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)

答えるべきポイントは次の3点です。

まず「自分の位置づけ」。客観的に今いる位置を把握できているかを明言してください。

次に「応募企業への入社意欲」です。なぜ当社で働きたいのか、何をやりたいのかを明確に伝えましょう。

最後に「入社後の働く覚悟」です。「こんなことまで私がやるの?」といったことがないよう、確固たる気持ちを宣言してください。たとえば、「確かに前職では、国際会計基準や連結決算など、高難度な会計にも従事しておりましたから、国内1社のみの御社で直接活かせる場面はないかもしれません。しかし、私は会社全体の数字を把握して経営層に提言していく、今回募集の職種に就きたいのです。仕事の進め方や社風などに違いがあるのは承知しております」というように話せば、3つのポイントをクリアできます。

たとえばこういう人の場合

33歳女性。大卒後2社に勤務。今回は3社目の転職で、現職と比べて規模が小さい同業の同職種(人事職)への応募。

NG!
「いえ、私はそんなに高いスキルを保有しているわけではありません」

↑ここでは謙遜さは不要。自分のポジションを把握していない表現は控えましょう。

OK!
「ご指摘の通り、私は約11年間、大手企業の人事職員として人事を一通り経験してきましたので、人事としての豊富な経験とスキルには自信があります。
2年前に課長に昇進し、今は現場担当の部下の管理と各事業部との調整が主業務となり、私が現場に行くことはなくなりました。
しかしやはり私は採用に立ち会ったり講師をしたりして現場業務に携わっていたいし、その方が自分の力を活かせると思います。
そのため、プレイングマネジャーのような、現場も管理も両方やる仕事が最適と思い、今回応募させて頂いた次第です。
この思いが実現できるなら給与が下がろうと全然かまいません。覚悟はできています」

↑前職と応募企業の職種とを比較しつつ、自分の位置づけ、入社意欲、入社後の覚悟を語ることで、高い説得力が感じられます。

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中谷 充宏(なかや・みつひろ)
キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)、社会保険労務士
同志社大学法学部法律学科卒。新卒入社したNTT(日本電信電話株式会社)勤務後、1社転職を経て2004年にキャリアカウンセラーとして独立。マンツーマンで依頼者の転職を支援する「就職&転職のパーソナルキャリアコーチ」。米国MBAホルダーや代表取締役といったエグゼクティブ層から、転職回数が多い等のハンデを背負った層まで、幅広い方々の転職支援の実績がある。また社会保険労務士として人事採用コンサルティングの経験も豊富で、人事部長として企業人事を一任されるケースもあり、生々しい採用現場や面接シーンも熟知。 著書に『20代~30代前半のための転職「面接」受かる答え方』、『30代後半~40代のための 転職「書類」受かる書き方』『30代後半~40代のための 転職「面接」受かる答え方』『20代~30代前半のための転職「書類」受かる書き方』(秀和システム)等多数。M&Nコンサルティング

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(キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)、社会保険労務士 中谷 充宏)

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