進化型「GRヤリス」からGRカローラの今後を予測 8速化された新型の走りをサーキットでテスト
東洋経済オンライン / 2024年5月3日 11時40分
2024年1月、進化型「GRヤリス」を今春登場させるとトヨタが発表した。進化型とは、これまでの捉え方でいえばビッグマイナーチェンジにあたる。2020年9月に新型車として発売されたGRヤリスに、はじめて大きく手が加えられたわけだが、その領域は内外装デザインやエンジン、サスペンションに留まらない。6速MTだけだったトランスミッションに8速ATである「DAT」を追加したのだ。
【写真で見る】トヨタの進化型「GRヤリス」はどこが変わった?そしてGRカローラの今後は?
スポーツモデルにおける2ペダル化の恩恵
MTの3ペダル(アクセル、ブレーキ、クラッチの各ペダル)に対してATはクラッチペダルがないため2ペダルとも呼ばれる。2000年以降、国内外のスポーツモデルではこぞって2ペダル化が進められてきた。
ATとMTには双方にメリットがある。スポーツモデルを2ペダル化させると、トランスミッション形式にもよるが変速時の駆動トルク抜けが抑制できるので単純に速く走らせることができる。多段化も進み、今では10速ATも市販車に搭載されている。
メルセデス・ベンツのAMG技術者は2015年の時点で、「3ペダルのスポーツモデルはこの先、作りません。高出力化したパワーを効率よく伝達するためです」と筆者のインタビューにこたえている。
GRヤリスはWRCを筆頭にラリーフィールドが開発の主戦場だ。発売後も継続的に進化させパーツや車両全体の成熟度を高めている。GRヤリスのチーフエンジニア(開発責任者)である齋藤尚彦さんは、「市販モデルとラリーモデルは関係が密接です。2023年9月の“S耐もてぎ”で、GRヤリスの8速ATモデル(プロトタイプ)を出走させましたが、進化型GRヤリスに設定したDATには、そこでの実戦経験を織り込んでいます。耐久信頼性が結果を大きく左右するレース環境でも使えるタフなATがDATです。この先も実戦で鍛えることをやめず、さらなる進化をGRヤリスでは目指します」と語る。
サーキットで従来型と進化型のGRヤリスに試乗
今回は、進化型第1章ともいうべきGRヤリス(8速DATと6速MT)に雨のサーキットで試乗。比較用として従来型GRヤリスの6速MTモデルが用意されていた。
サーキット試乗で雨天とは条件が悪そうだが、雨の試乗も嫌いじゃない。しかも試乗当日の外気温は+1度と、いまにも雪に変わりそうな寒さだ。わかりやすく滑りやすい路面だが、車両の限界特性を低い車速域から安全に確認できる絶好のチャンスでもある。
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