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「死にいたる事も」意外と知らない歯周病の"怖さ" なぜ歯周病菌は普通の歯磨きでは死なないのか

東洋経済オンライン / 2024年5月9日 8時30分

歯周病菌も虫歯菌と同様、生まれたときは口の中に存在せず、両親などから感染していくのですが、幼い頃から活発に働く虫歯菌と違い、歯周病菌は16歳くらいから、急激に増えるといわれています。また、歯周病菌は舌に集まりやすく、そこから歯に定着するというルートをたどると考えられています。

舌を経由し、歯へと定着する歯周病菌ですが、このときの定住先がプラークです。プラークの外では、歯周病菌はさほど活動しません。しかし、いざプラークの中に入り込むと、その数をどんどん増やし、人体に悪影響をもたらす活動を開始します。

なぜ、歯周病菌はプラークの中で活発になるのか。それは、歯周病菌が嫌気性という特徴を持つ菌だからです。

嫌気性とは読んで字のごとく、空気が嫌いな性質のこと。そのため、歯周病菌は、空気に触れている間はそれほど繁殖しません。

しかし、空気が入る隙間がないほど菌で密集しているプラーク内は、歯周病菌の嫌いな空気がグッと少なくなります。こうして安住の地を手に入れた歯周病菌は安心して繁殖し始めますが、口内にはさらに空気が入りづらい場所があります。

それが歯と歯茎の間にある2ミリほどの隙間、歯肉溝(しにくこう)です。ここにプラークが入り込むと、より空気は少なくなります。

歯周病菌はタンパク質が分解されたアミノ酸をエサにしていますが、歯肉溝には「歯肉溝浸出(しんしゅつ)液」というものが浸み出ていて、そこにアミノ酸が含まれているため、エサにも困らないのです。

こうして、最高の住処とエサ場にたどり着いた歯周病菌は、どんどん繁殖し、歯肉溝内を制圧していきます。この段階で歯茎は腫れ、歯肉溝が大きく広がり、歯周ポケットと呼ばれるようになり、歯肉炎と診断されます。

しかし、ここで終わらないのが歯周病菌の恐ろしいところ。

ここから、本格的に人体と歯周病菌の戦いの火ぶたが切って落とされ、さまざまな害へとつながっていくのです。

人体と歯周病菌の戦い

人体には、異物と戦うための免疫機能が存在します。さまざまな外敵を倒すための抗体、体の温度を上げ外敵を殺す発熱など、数々の体を守る仕組みによって、我々の健康は維持されています。

「炎症」。誰もがこの言葉を聞いたことがあるでしょう。言葉だけ聞くと悪いことのように思えますが、これは代表的な免疫反応の1つで、外敵が侵入してきた箇所や傷ついた箇所に血液を集めることで、免疫細胞を送り込み、戦いを有利に進めていきます。

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