米消費者の長期インフレ期待がまちまちに=NY連銀3月調査
ロイター / 2024年4月9日 9時14分
米ニューヨーク連銀が8日発表した3月の消費者調査によると、3年先のインフレ期待が上昇する一方、5年先のインフレ期待は低下するなど長期インフレ期待がまちまちとなった。20203年6月撮影(2024年 ロイター/Shannon Stapleton)
[8日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀が8日発表した3月の消費者調査によると、3年先のインフレ期待が上昇する一方、5年先のインフレ期待は低下するなど長期インフレ期待がまちまちとなった。
1年先のインフレ期待は3%と横ばいだったが、3年先のインフレ期待は2月の2.7%から2.9%に上昇した。一方、5年先のインフレ期待は同2.9%から2.6%に低下した。
調査によると、今後数年間のインフレに対する全体的な予想はまちまちだが、1年先の食料、ガソリン、家賃、大学費用、医療費の伸びが2月から加速すると予想されている。また、1年先の住宅価格の伸び予想は3%と6カ月連続で横ばいとなっている。
米国のインフレは今年に入って想定よりも強い粘着性を示しており、連邦準備理事会(FRB)当局者らや市場は昨年に見られた急速なインフレ鈍化が止まったかどうかを見極めようとしている。FRBが注目する個人消費支出(PCE)価格指数は2月に前年同月比2.5%上昇と、1月の2.4%から伸びが加速している。
一連の指標を受けて利下げ時期が後ずれするとの観測が強まっており、先物市場が織り込む6月の利下げ開始確率は五分五分となっている。
調査会社SGHマクロ・アドバイザーズのチーフ米国エコノミスト、ティム・デューイ氏は、「利下げの適切な時期を判断するのにインフレ指標が引き続き最重要の要因となっている」と指摘。10日発表の3月の消費者物価指数(CPI)の内容次第では6月の利下げが完全に排除される可能性があるとした。
今回の連銀調査では、労働市場に対する見方もまちまちとなり、賃金の伸び予想が横ばいとなる一方で、先行きの雇用に対しては悲観的見方が強まった。
個人の財務状況に関しては全体的によりポジティブな見方となったが、債務返済の遅れを懸念しているとの回答が過去4年間で最多となった。こうした懸念は低所得者層および40─60歳に集中した。
FRBの利上げによる借り入れコストの上昇や新型コロナウイルス関連給付金の残高減少を背景に、債務返済が困難になる消費者が増えつつあることが最近の指標で示されている。
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