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iPadで描く・アイデアをまとめる:デザイナー板坂諭氏のApple Storeイベントに学ぶ

ASCII.jp / 2022年10月28日 16時40分

Apple丸の内で実施された「Today at Apple」のプログラムを取材した

 アップルの直営店舗Apple Storeでは、10月26日に発売した新しいiPadなど新製品の便利な使い方や、アプリを実践的に活用する手段が体験を通して学べる無料プログラム「Today at Apple」を開催している。建築家・プロダクトデザイナーの板坂諭氏が講師として登壇した「ビジネスに活かせるデザインコンセプト」のイベントに参加した。

 Today at Appleのイベントは全国のApple Storeで定期開催されている。テーマとして扱う領域も多岐に渡り、ビジネスパーソンからクリエイター、趣味としてAppleデバイスを楽しみたい方まで様々な参加者が楽しめるプログラムが充実する。

建築家・プロダクトデザイナーの板坂諭氏が 「デザインコンセプト」を語る

 10月27日には建築家・プロダクトデザイナーとして活躍する板坂諭氏が講師として招かれた。会場を埋め尽くした参加者は、最新のApple M2チップを搭載するiPad Proを使って、板坂氏が説くデザインの手順を、デバイスやアプリの体験を通して学んだ。

建築家・プロダクトデザイナーの板坂諭氏

 板坂諭氏は自身が立ち上げた建築設計・デザイン事務所であるthe design laboの代表。プロダクトのブランドである「h220430」も主宰する。プログラムの冒頭、板坂氏は「プロダクトデザインの世界では、先達の方々がたくさんの素晴らしいアイデアを形に残してきた。私はプロダクトデザイナーとして、先達とは異なるコンセプト重視のアプローチから独自性を磨くことに注力してきた。プロダクトを作る際には先にコンセプトをしっかりと立てることを重視している」と語り、ものづくりにおける企画力やプレゼンテーションの大切さを提唱した。

M2チップを搭載する最新のiPad Proを使ってアイデアをカタチにする実戦の時間が設けられた

 板坂氏の指南に沿って、この日のプログラムはiPad ProとApple Pencil、そしてiPadOSの「メモ」アプリを使ってデザインスケッチを描くことに加えて、「Pages」アプリのテンプレートを使って企画書を作り、作品のプレゼンテーションをする時間が設けられた。

自身がスケッチしたアイデアを参加者どうしでプレゼンする時間が設けられた

 Apple Pencilを握りしめ、メモアプリの画面にスケッチを描く参加者各位の表情は真剣そのもの。賑やかなApple丸の内のストア店内の空気が、このイベント会場の一画だけひんやりとした緊張感に包まれたようだった。

 10分間のドローイングを終えた後、参加者各位はPagesアプリを使って作品のコンセプトをしたためた企画書を作成した。Apple PencilでiPadの画面下部のいずれかの隅から上に向かってスワイプすると、画面のスクリーンショットが素速く撮れる。この日のToday at Appleは「ビジネスに創造性を」という大見出しを掲げるイベントだったからなのだろうか。メモアプリで描いたスケッチを画像に保存して、Pagesアプリに読み込み貼り付けるといった作業を、参加者各位が実に手際よくこなしていた姿が印象に残った。

最新のiPad Proでスケッチを描き、Pagesアプリで企画書をつくる

 プレゼンテーションの時間では、何人かの参加者による作品がApple丸の内の大型ビジョンに映し出され、板坂氏が講評を加えた。この日のプログラムの中で、板坂氏は最近自身が手がけたインスタレーション、プロダクト、展示会の会場構成などを披露しながら「コンセプトを語れないと良いものを作れない」のだと繰り返し述べてきた。約1時間半のプログラムの中で、参加者各位がアイデアのスケッチ等に手を動かす時間は限られていたが、短い時間の中で印象に残る作品とプレゼンテーションを披露した参加者に向けて、板坂氏も大きな拍手を贈った。

自身の作品を語る板坂氏。次回はオンライン版のToday at Appleにも講師として登壇する

 日本最大級の規模で開催されるデザインとアートのフェイスティバル「DESIGNART TOKYO 2022」が10月30日(日)まで都内で開催されている。ワールド北青山ビルでのメインエキシビション会場の展示空間構成は板坂諭氏が手がけたものだ。また東京・恵比寿のギャラリーSOMEWHERE TOKYOでは「昨今は“菌”に注目している」という板坂氏が、椅子にキノコを生やしてみたという先鋭的なアート作品「Fungi Stool」が11月6日まで展示中だ。

自身の作品を語る板坂氏。次回はオンライン版のToday at Appleにも講師として登壇する

 さらに11月15日の午後18時半から19時45分までの時間は、「板坂諭に学ぶビジネスに活かせるデザインコンセプト」と題したToday at Appleのオンラインセッションが開催を予定している。板坂氏による「コンセプトのつくりかた」に触れながら、ビジネスからアートにまで視野を広げてみてはいかがだろうか。

 セッションへの参加申し込みはToday at Appleのサイトからできる。ほかにも多彩なテーマで実施されているToday at Appleの無料プログラムと一緒にチェックしてほしい。

 

筆者紹介――山本 敦  オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

 

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