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【レビュー】M3搭載新MacBook Airはちょっとお高いけど軽くて速い 学生や新社会人に最高

ASCII.jp / 2024年3月24日 12時0分

今回試用したM3搭載13インチMacBook Air。色はミッドナイト

大学入学、新社会人「何買えばいい?」に対する回答

 今のご時世、大学生にとってはノートパソコンは必須。また、春になると新社会人になって自分用のパソコンを買う人も多いだろう。筆者も大学生、新社会人の子どもがいることもあって、その友人の親御さんなどから「何を買えばいいの?」との質問をよく受ける。Macを買いたい(買える環境である)ということなのであれば、これまで筆者は「可能ならM2 MacBook Air。少しでも安くというのであれば、M1 MacBook Air」と答えてきた。

 その結果、多くの人はM1 MacBook Airを購入されていた。さて、M3が登場して、M1が販売終了になった今、その質問に対する答えはどうなっただろうか?

M3 MacBook Airの外観はM2 MacBook Airとまったく同じ。ボディカラーが写真のミッドナイトのほか、シルバー、スターライト、スペースグレイの計4色なのも同じ。画面サイズは13インチ(写真)と、15インチが用意される

M1→M2→M3の性能向上とさらなる専用チップの効果

 理系の学生で重い計算をしなければならないとか、3D CADを使う、映像系の学生で3Dグラフィックスを扱ったり、大量の動画編集をしなければならないという人はM3 Pro/M3 Maxが必要になるかもしれない。が、そういう人は自分でそのことを分かっているだろう。

 それ以外の人はほとんどすべて、MacBook Airで事足りると思う。文系のほどんどの課題、多少のCAD、グラフィックワーク、動画編集だってMacBook Airで問題ない。2020年にApple Silicon搭載機(チップセットの名称がMで始まる)が登場して以来、MacBook Airの処理能力は大きく高まり、ほとんどの作業に十分な処理能力を発揮できるようになった。

Macを買って最初に驚くのは初期設定の簡単さだ。ガイダンスにしたがって操作するだけでスムーズに設定できる

 また、アップル製品には学生・教職員向けの価格が設定されているので、学生や教職員の方は忘れずに利用したい。M3 MacBook Air 13インチの価格は16万4800円から、学生・教職員価格は14万9800円から。15インチ版の価格は19万8800円から、学生・教職員価格は17万9800円からとなっている。

 では、M1/M2/M3の差違はどのぐらいなのだろうか? こちらのベンチマークを見ていただきたい。CPUに関する性能は、世代を追うごとに15~20%向上している。

Apple Silicon化で飛躍的に性能向上しており、M1~M3でも着実に処理能力が高まっている

 対して、GPUに関する性能はM1→M2で、50~60%と大幅に向上し、M2→M3では少し穏やかに性能向上していると見ていいだろう。

数値上のGPU処理能力はApple Silicon化はもちろん、M1→M2でも大幅にパワーアップしている。M2→M3は数値上の伸びは少なくなったが、カスタムチップの搭載で、必要とされる処理能力を集中的に高めている

 ちなみに、M3の最安モデルとM2の最安モデルの差は1万6000円である。「少しでも安く」という気持ちは分からなくはないが、この性能差ならM3搭載モデルを買った方がお買い得だと私は思う。

M1、M2、そして、過去のインテル版MacBook Airで計測したデータを比較した

 また、このグラフを見ていただければ、中古などで、いくら安価で売っていたとしてもインテルCPUの世代のMacBook Airは買わない方がいいということも分かっていただけるだろう。

 さらに、違いは単純なベンチマークの差だけではない。M1よりM2、M2よりM3で、頻繁にする処理に対して、専用のチップを加えて処理の高速化が図られているのだ。

 映像処理に関してはM2からメディアエンジンが搭載されていたが、M3ではこのメディアエンジンがAV1デコードに対応した最新のものになった。ゲームなどでも多用する3Dグラフィックスに関しては、ハードウェアアクセラレーテッドメッシュシェーディングとレイトレーシングに対応した専用チップを搭載しており、描画速度を大きく向上させている。

 Apple SiliconはM1世代から、16コアのNeural Engineを搭載し、圧倒的速度で機械学習の処理をすることができるが、M3では機械学習の性能を向上させるアクセラレーターをCPUとGPU内に搭載しているので、機械学習の処理速度はさらに高速化されている。

プリインストールされているアプリも豊富。これらを含め、多くのアプリでNeural Engineが使われるようになっている

 多くの人は「機械学習を使っている」とは思っていないかもしれないが、たとえばGoodnotes 6の数学アシスタント機能であるとか、Final Cut ProやAdobe Premiere Pro、DaVinci Resolveなどの画像処理、macOS自体の画像中のテキスト認識、発表者オーバーレイ、ライブキャプション……などさまざまな機能に機械学習は使われている。Neural Engineのアクセラレーターは、これらすべての処理を大きく高速化してくれるのだ。

M3からは2枚の外部ディスプレイを接続できるようになった。ただし、2枚使えるのは本体を閉じた状態の時だけ

2枚目の外部ディスプレイを利用可能に

 演算速度だけでない貢献もある。Wi-Fi 6E対応となったので、設備が整っている環境においてはワイヤレス接続の速度が大幅に向上している。

 また、従来外部ディスプレイは1枚のみの対応だったが、M3 MacBook Airからは2枚対応となった。ただし条件は限られており、本体を閉じた状態(クラムシェルモード)でしか活用できない。また、1枚目のディスプレイは6Kまでをサポートしているが、2枚目は5Kまでとなっている。限られた拡張ではあるが、今後チップセットの性能が向上すれば、サポートされるディスプレイの枚数は増えていく……ということが示されたということでもある。複数枚のディスプレイを使う人にとってはうれしい話だ。

軽さとバッテリーの持ちもアドバンテージだ

 M2との差違は以上だが、そもそもM2 MacBook Airからして学生や、新社会人などの若いユーザーにとってうれしい機能が数多く搭載されている。

 薄く軽いのも、日々の持ち歩きに大きく影響する。M3 MacBook Air 13インチは約1.24kgだが、これはM3 Max MacBook Pro 14インチの1.62kgより380gも軽い。毎日持ち歩くとなるとこの差は大きい。

 また、バッテリーの持ちも驚くほどで、ワイヤレスインターネット作業で15時間、Apple TVアプリの再生で18時間も持続する。電源アダプターや予備バッテリーを持ち歩かなくていいというのも、荷物を少なくするのに役立ってくれる。

 また、試用機には、デュアルUSB-Cポート搭載35Wアダプターが付属していたが、この充電器、iPhoneやiPadを一緒に持ち歩いている人にとっては非常に便利なアイテムだ。MacBook Airと、もう1台、iPhoneやiPadを充電することができる。

オンラインで購入すると付属するアダプターは選択できるが、一緒にiPhoneも充電できるデュアルUSB-Cポート搭載35Wアダプターが便利だ

 昨今はオンラインでの授業や会議も増えているが、MacBook Airは音も映像も良好で、安心してリモートで授業を受けたり、会議に出たりすることができる。カメラは1080pのFaceTime HDカメラ。マイクは指向性ビームフォーミングを持つ3マイクアレイ。スピーカーは4スピーカーのサウンドシステム。いずれも、高いレベルでのリモートコミュニケーションを実現してくれる。

いつも使ってるiPhoneと同じアプリでデータ連携

 もし、あなたがiPhoneやiPadをお持ちなら、それらとの連係能力の高さにも感動するはずだ。

 iPhoneと同じiCloudアカウントでMacを始めれば、使い始めた時から連絡先や写真が自動的に同期して、どちらでも同じように使えるようになる。Pages、Numbers、Keynote、フリーボードなどのアプリのデータも、すべて自動的に同期してくれて、iPhoneとMac、どちらでも利用できるようになる。

iPhoneと同じiCloudアカウントで使えば、多くのアプリのデータが自動的に同期してくれてとても便利だ

 そればかりか、同じiCloudアカウントを入れて、同じWi-Fi内にいれば、iPhoneでコピーした文言を、Macで扱ってる書類にペーストしたりすることもできるのだ。

 便利なiPhoneとの連係と、薄さ、軽さと、圧倒的なパフォーマンスの高さ。M3 MacBook Airは多くの人に安心して勧められるバランスに優れたマシンとなっている。

 

筆者紹介――村上タクタ  趣味の雑誌を30年間に600冊ほど作ってきた編集者・ライター。バイク雑誌「ライダースクラブ」で仕事を始め、ラジコン飛行機雑誌「RCエアワールド」、海水魚とサンゴ飼育の雑誌「コーラルフィッシュ」、デジタルガジェットの本「flick!」の編集長を約10年務めた後退職。現在フリーランスの編集者・ライターであり、ウェブメディアThunderVoltの編集長。HHKBエバンジェリスト、ScanSnapアンバサダー、mmhmmヒーロー。iPhone、iPadなどのデジタルガジェットや、バイク、クルマ、旅、キャンプ、絵画、日本酒、ワインと家族を愛する2児の父。

 

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