「2024年FOMCメンバー」の金融政策スタンスは?投票権を持つ12名を〈ハト派・中立・タカ派〉に区分【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年2月29日 12時40分
(※写真はイメージです/PIXTA)
※本稿は、チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。
●金融政策を議論し決定するFOMCでは、7名の理事と5名の地区連銀総裁が投票権を保有する。
●投票権を持つ12名のうちハト派は3名、タカ派は2名、中立7名と比較的バランスの取れた陣容に。
●米金融政策を見通す上で、常任メンバーの発言は重要、タカ派メンバーのトーンの変化も要注意。
金融政策を議論し決定するFOMCでは、7名の理事と5名の地区連銀総裁が投票権を保有する
米国の連邦準備制度(The Federal Reserve System)は、1913年の連邦準備法によって設立された中央銀行制度です。その最高意思決定機関が、ワシントンにある連邦準備制度理事会(The Board of Governors of the Federal Reserve System) で、一般的にFRB (The Federal Reserve Board)という略称で呼ばれています。FRBは連邦政府の1機関であり、7名の理事(うち議長1名、副議長1名、金融監督担当副議長1名)で構成されています。
FRBは、その下に12の地区連邦準備銀行(地区連銀)を抱え、業務に関する広範な監督権限を付与されています。なお、金融政策の決定に関する議論は、連邦公開市場委員会(FOMC)で行われ、7名の理事と5名の地区連銀総裁が投票権を持ちます。理事とニューヨーク地区連銀総裁は、常に投票権を持つ常任メンバーですが、4名の地区連銀総裁は、輪番制により1年の任期となります。
投票権を持つ12名のうちハト派は3名、タカ派は2名、中立7名と比較的バランスの取れた陣容に
つまり、投票権を持つ5名の地区連銀総裁のうち、ニューヨーク地区連銀総裁を除いて、4名が毎年入れ替わることになります。2023年は、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリスの各地区連銀総裁がメンバーでした。2024年は、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコの各地区連銀総裁が、新たに投票権を持つメンバーとなります。
2024年のFOMCで投票権を持つメンバーについて、最近の発言などを踏まえ、金融政策のスタンスを、ハト派(景気重視)、中立、タカ派(物価重視)の3つに区分したものが図表1です。投票権を持つ12名のうち、ジェファーソン副議長、クック理事、クグラー理事の3名がハト派、ボウマン理事とリッチモンド地区連銀のバーキン総裁の2名がタカ派、残り7名が中立と、2024年のFOMCは比較的バランスの取れた陣容となっています。
米金融政策を見通す上で、常任メンバーの発言は重要、タカ派メンバーのトーンの変化も要注意
米金融政策については、最初の利下げ時期とその後の利下げペースが、引き続き焦点となっていますが、1月2日時点のフェデラルファンド(FF)金利先物市場では、最初の25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げは3月で、年6回の利下げが織り込まれていました。ただ、その後は米雇用や物価の底堅さが確認されたことから、2月27日時点で最初の利下げは6月、年3回の利下げの織り込みとなっています(図表2)。
弊社は6月に最初の利下げが行われ、その後は四半期に1回のペースで、年3回の利下げを予想しています(利下げ幅は25bp)。先行きの米金融政策を見通す上では、雇用や物価指標に加え、FOMCメンバーのうち、特にパウエル議長ほか常任メンバーの発言は重要な手掛かりとなります。また、タカ派メンバーの発言で、タカ派色が弱まれば、利下げは近いと読み取ることもできます。
(2024年2月29日)
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『「2024年FOMCメンバー」の金融政策スタンスは?投票権を持つ12名を〈ハト派・中立・タカ派〉に区分【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
外部リンク
- 「2024年FOMCメンバー」の金融政策スタンスは?投票権を持つ12名を〈ハト派・中立・タカ派〉に区分【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
- 2024年も「賃上げ継続」なら日本株には好材料 国内企業の「賃上げ率」を予想【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
- 日経平均〈最高値〉更新 今回の株高は「バブルではない」【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
- 日経平均〈史上最高値〉も視野…日本株を押し上げる「3つの注目ポイント」と「追加的な好材料」【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
- 実は恐ろしい「日経平均7万円シナリオ」【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】
この記事に関連するニュース
-
5月FOMC、政策金利は「据え置き」と予想。年内利下げは「9月」「12月」とみる【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月24日 13時50分
-
円安どこまで? 口先介入だけなら、155円も単なる通過点に
トウシル / 2024年4月17日 9時41分
-
FRB「5月利下げ」はあるのか? ドル高に調整の可能性も
トウシル / 2024年4月3日 9時55分
-
FRB当局者、年内3回の利下げ「妥当」 早すぎればリスクと指摘
ロイター / 2024年4月3日 9時33分
-
利下げ6月の可能性排除せず、データ次第=クリーブランド連銀総裁
ロイター / 2024年4月3日 4時51分
ランキング
-
1「プリンを食べるか我慢するか」で人生変わる理由 後悔しない時間の使い方を身につける方法
東洋経済オンライン / 2024年4月28日 18時0分
-
2みずほFG「転売品を購入しないで」 新1年生向けピカチュウ交通安全ワッペン、メルカリへ出品相次ぐ SNS「子どもの安全を売るなんて」
まいどなニュース / 2024年4月28日 19時25分
-
3IHIで絶えない「品質不正」、職場風土の大問題 エンジン「燃費データ」を40年にわたり改ざんか
東洋経済オンライン / 2024年4月29日 8時0分
-
4円乱高下、一時160円台 その後急騰、為替介入の可能性も
共同通信 / 2024年4月29日 15時26分
-
5テスラのマスクCEO、北京で李強首相と会談「協力を深めウィンウィン実現したい」
読売新聞 / 2024年4月28日 23時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください