「1000円の寄付金はどこへ」 国交省は「使い道未定」も… 図柄入りナンバーの広告活動に注力する理由とは
くるまのニュース / 2024年4月9日 9時10分
地方によって個性が違う図柄入りナンバープレート、最近この普及のための広告をSNSなどで見かけるようになりました。なぜ、このような広告を掲載して、普及に努めるのでしょうか。
■図柄入りナンバープレートの「寄付金」 その行方は?
図柄入りナンバープレートのカラー版を希望する場合、諸費用以外に寄付金として1000円が必要です。
この寄付金ですが、この寄付金がその自治体に戻ってくるのには複雑な仕組みが存在するようですが、どのような仕組みなのでしょうか。
愛車の前後に彩りを与えてくれる「図柄入りナンバープレート」。
休日のパーキングエリアなどに行くと、全国の色とりどりのデザインを見ることができます。
地方によって個性が違う図柄入りナンバープレート、最近この普及のための広告をSNSなどで見かけるようになりました。
なぜ、このような広告を掲載して、普及に努めるのでしょうか。
図柄入りナンバープレートは、平成30年10月1日から交付がスタートしました。
これは地域の魅力を発信するために導入されたもので、第一弾は41地域が参加。現在では68地域が、独自の図柄ナンバー入りプレートを交付しています。
図柄ナンバー入りプレートはこの“地方版”に加えて、花柄の“全国版”、そしてイベントごとに交付されるバージョンも存在します。
イベントバージョンは「ラグビーワールドカップ」や「東京オリンピック」が人気を博しましたが、現在は「大阪万博」の図柄になっています。
図柄ナンバー入りプレートの魅力は、カラフルなデザインになることに加えて、軽自動車の黄色ナンバーが白ナンバーになることも挙げられます。
地方版ですと、ナンバーの角の一部が周囲に黄色が残りますが、イベントバージョンでは全面白になることも。黄色ナンバーが嫌で、これを選ぶ人も多いようです。
ちなみに図柄ナンバー入りプレートには2種類あり、図柄がカラーのものとモノクロのものが存在します。
カラーを選ぶ場合は、交付料の他に1000円の寄付金を払う必要があります。
実はこの仕組みゆえに、地方自治体が普及を促す広告を展開する理由がありました。
ちなみに筆者が住んでいる東京都杉並区は、Facebookにおいて広告を掲載しています。
その理由について、杉並区役所担当者に聞いてみました。
「図柄入りナンバープレートのカラーを選ぶと、1000円の寄付金をいただくことになります。
この1000円の一部が助成金として地方自治体に交付にされるのですが、この額はどれだけ普及しているのかによって変わってくるのです。
国土交通省からは各地方自治体が普及を啓蒙する広告活動が推奨されているので、これに基づいてコンプライアンスの範囲の中でやらさせていただいております」
では積極的に広告を載せて、ユーザーに取得してもらえば潤うかというと、そういうわけでもないようです。
1000円の寄付金は管理団体である「日本デザインナンバー財団」に全額入ります。
そこから、普及率によって寄付金が振り分けられるわけではなく、地方自治体はどのような用途に使うかを財団に申請しなければなりません。
その事業内容が認可されると、初めて助成金として支払われるという仕組みです。
令和4年度の助成事業の具体例を見てみると、「白神山地魅力発信事業(青森県弘前市)」「高校生向け自転車利用・交通安全啓蒙活動(東京都葛飾区)」「観光のためのレンタサイクル事業(鳥取県出雲市)」など、その内容は様々です。
こうした事業内容が認められないと助成金を受け取ることができないわけですが、地方自治体にはその前に大きな壁が立ちはだかっているといいます。
それは図柄入りナンバープレートのデザイン。ちなみに杉並区は、「なみすけ」と「なみー」というご当地ゆるキャラがデザインされているのですが、区民公募で図柄を決めてしまったため、実のところ人気はイマイチ。
そういった背景もあり、区役所は広告を掲載して普及に努めているようです。
ちなみに全国ナンバー1の普及率を誇っているのは、朱雀が背景に描かれている「飛鳥ナンバー(奈良県)」。2位は八岐大蛇が描かれた「出雲ナンバー(島根県)」、3位は矢切の渡しの様子がデザインされた「松戸ナンバー(千葉県)」
こうしたナンバーはさぞ普及率も高いのだろうと思いきや、飛鳥ナンバーでわずか6.29%(令和5年3月31日現在)。
人口に対する自動車普及率が影響する部分もあるようですが、大抵の場合は「愛車のデザインに合わない」という理由が大きいのだとか。
ちなみにモノクロ版に寄付金を払うというユーザーもいるようですが、寄付金の分配システムについて知らない人も多いのではないでしょうか。
この寄付金の一部は、国土交通省にも支給されるようですが、こちらは未だ具体的な使い途が決まっていないということでした。
1000円という寄付金額ですが、まとまれば大きな“税収”。「ふるさと創世事業」のような無駄使いにならないように願うばかりです。
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