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『マクロス』に連なる、不遇の打ち切り作『超時空騎団サザンクロス』 封印作品となった理由

マグミクス / 2024年4月15日 7時25分

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■人気を博した『マクロス』に連なる「超時空シリーズ」第3弾

 2024年4月15日で、TVアニメ『超時空騎団サザンクロス』が放送開始から40周年を迎えます。『超時空要塞マクロス』、『超時空世紀オーガス』に続く「超時空シリーズ」の第3弾として登場しました。しかし、人気を得ることができずに、全39話の予定が23話で打ち切られてしまいました。しかし、海外ではTVアニメシリーズ「ロボテック」の一部として高い人気を獲得した作品です。

『サザンクロス』は放送当時、あまり人気が出ず、後述の事情で再放送もほとんど行われなかったため、『マクロス』と比較すると知名度が低い作品です。しかし、注目すべき点や見どころは数多く、現代へとつながる価値観を持っている重要なタイトルでもあるのです。

『サザンクロス』の世界では、地球が戦争などにより汚染されて住めなくなり、人類は地球を棄てて新天地を目指し、いくつかの植民地を開拓するに至っています。物語の舞台となるのがそのひとつである「惑星グロリエ」で、主人公はグロリエを守る開拓惑星軍「サザンクロス軍」の戦略機甲師団の分隊長「ジャンヌ・フランセーズ」少尉という、女性の正規軍人です。

 現代では珍しくない設定ですが、当時としてはロボットアニメの主人公を女性が務めるのは『ゴワッパ―5 ゴーダム』などごくわずかな例しかなく、ましてや軍人となればおそらくは最初の事例と思われます。なお、声優を務めた富沢美智恵さんにとっては、ジャンヌが初の主役なのも見逃せないポイントです。

 さて、『サザンクロス』の物語は突如として謎の宇宙人「ゾル」の大規模船団が現れ、グロリアの明け渡しを要求されたことから始まります。周囲の星からの支援を期待できない状況下、正体不明の敵を迎え撃つため、ジャンヌをはじめとする多くの若者たちは死闘へと身を投じることになります。

 このゾル人は、同じ姿をした者が常に3人1組で行動するなど、多くの謎があります。ですが、ゾル人の秘密が明かされる部分は打ち切りのために放送されておらず、今も謎のままなのが残念なところです。なお、ゾル人の「ムジカ・ノヴァ(ムジエ、ムゼル)」の声優は日高のり子さんで、これがデビュー作となります。

■海外での展開も終了、ほぼ封印状態に

「ロボテック」シリーズとして『サザンクロス』とともに、海外で展開して人気を博した『機甲創世記モスピーダ』 画像は全話を収録した4枚組Blu-ray(松竹)

『サザンクロス』の知名度が低い原因としては、再放送があまり行われていない点があります。これは、制作を担当したタツノコプロと広告代理店のビッグウエストが、『マクロス』の権利を巡って係争状態に陥ってしまったためです。現在、『サザンクロス』の権利はデザインと原作はタツノコプロダクションが、放映権はビックウエストが所有している状況です。

 このような状況から再放送は難しく、「封印作品」に近い状況となっています。2000年に「超時空騎団サザンクロス DVD PERFECT COLLECTION」の発売にこぎつけた関係者の苦労がしのばれます。

 なお、海外では『マクロス』や『機甲創世記モスピーダ』とともにハーモニーゴールド USA社がタツノコプロと契約し、同じ作品世界の違う時代を扱ったという設定のロボットアニメ大河シリーズ「ロボテック」の「第二世代編」として改変・再編集されて放送され、非常に高い人気を獲得しています。むしろ、海外の方が知名度は高い作品といえるでしょう。

 しかしながらハーモニーゴールド USAが所有していた「ロボテック」の国際商標権は、2021年にタツノコプロに返還されたため、海外での関連商品は絶版となっています。国内でも国外でも展開が難しい状況となった『サザンクロス』はまさに不遇の作品といえるでしょう。

 日本国内でも、『サザンクロス』の関連商品は主人公側の巨大ロボットが商品化されていないためそれほど多くないのですが、ひとつ大きなインパクトを持つ製品があります。それが有井製作所(現:マイクロエース)より発売されていた、キャラクタープラモデル「G.M.P ラーナ少尉」です。

 ラーナが装備している軽甲冑「アーミング・ダブレット」を外すと、素肌が丸出しになる仕組みとなっており、ブリスターパックの台紙には、「ロリコンを採り入れたボディ(前後)」という少々意味不明なキャッチフレーズが添えられています。

 さまざまな問題からあまり語られない『サザンクロス』ですが、オープニングの「星のデジャ・ブー」とエンディングの「約束」(共に歌は鹿取洋子)は名曲です。劇中歌の「STAR DUST MEMORY」は影山ヒロノブ氏のアニメソングデビュー曲でもあり、富沢美知恵さんや日高のり子さんの初期の楽曲も作中で使用されています。サウンドトラックのCDは高騰しているため簡単には手を出せない上に、日高のり子さんの「いのちのはな・生命の花 /(乙女達)」は収録されていませんでした。いつかまた、自由に『サザンクロス』の名曲たちを楽しめる日が来るといいのですが。

(早川清一朗)

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