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「両親や祖父母が議員だった世襲議員は豊かな環境で育ったため、私たちの生活に思いを馳せることはできません」共同親権、インボイス制度…国民の反対を押し切り続ける岸田内閣がもたらす「恐ろしい未来」

集英社オンライン / 2024年4月27日 8時0分

そもそも「国の借金」とは誰がどこから借りた金なのか。「国の借金が過去最大1286兆円超に」という報道の正しい見方〉から続く

4月下旬に毎日新聞が実施した世論調査での、次の衆議院選挙で政権交代を望むかどうかによると、「政権交代してほしい」(62%)という回答が6割にものぼった。政権交代を望む人が多い背景として、自民党政権が国民の声に耳を傾けようとしないことが挙げられる。

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実際、離婚後も父母双方が親権を持つ“共同親権”の導入が柱となる民法などの改正案が4月16日、衆院本会議で賛成多数で可決されたが、この決定にSNSでは批判殺到。オンライン署名『change.org』では現在約22万筆の反対署名が集まっている。政府はなぜ国民の声を聞かないのだろうか。元自民党衆議院議員で税理士の安藤裕氏に話を聞いた。

綿密な議論なく、急いで可決させた

まず共同親権について安藤氏はどのように考えているのだろうか。

「共同親権はとても難しいトピックです。これが施行されると、パートナーのDVや虐待などによって離婚した場合でも、元パートナーとの面会交流を拒否できなくなります。子どもを危険にさらす可能性があり、身体的被害はなくてもかなりの精神的負担を子どもに与えかねない。その一方で、現行の単独親権では、一方的に離婚を迫って元パートナーに子どもを会わせない“連れ去り”が許容され、その被害を訴えている人も少なくありません」

こうした共同親権、単独親権、それぞれで起きる問題点を指摘したうえで、今回の衆院本会議は具体的な内容について十分な議論がされないまま可決されたことに違和感を示す。

「一応、父母の協議によって共同親権か単独親権かを決められることになっていますが、DVや虐待があった場合、冷静な協議ができるはずがありません。また、協議の折り合いがつかないときは家庭裁判所が共同親権か単独親権かを判断するそうですが、その判断基準も綿密に議論されていません。与野党で時間をかけて話し合う必要があるにもかかわらず、かなり急いで衆院本会議を可決させた印象です」

与野党が議論できない背景

今回の共同親権のケース同様、インボイス制度も約54万筆のオンライン署名を集めるなど多くの批判が寄せられたが、昨年10月に施行。共同親権、インボイス制度ともに野党は批判的な姿勢を見せており、もう少し議論を交わしてもよかったように思うが、与党は強硬姿勢を一貫していた。

そもそも、なぜ与野党でじっくり議論されないのか。その理由として、安藤氏は小選挙区制の弊害を指摘する。

「本来、法案とは与野党が議論しながらよりよいものに作り上げていかなければいけない。しかし、小選挙区制が導入されて以降、各選挙区の議席を与野党で争うことにより、与野党の対立構造が顕著になりました。仮に野党の提案・反論に妥当性があったとしても、その提案を聞き入れてしまうと野党に手柄を与えることになる。それだと選挙で不利になってしまうため、野党の意見は一切聞き入れずに強引に進めるようになりました。共同親権にしても、インボイス制度にしても、与党の動きはある意味“いつも通り”です」

国民の生活がわからない、おぼっちゃま議員たち

とはいえ、野党の声が国民の声というケースも珍しくない。国民の声に耳を傾けなければ、それこそ選挙で勝つことは難しくならないだろうか。それでも国民を無視して適切な政策を講じようとしない背景として、「国民の生活をイメージできていない議員が多いことが大きい」と解説する。

「小泉政権時にエリート層の人たちを中心に入閣させ、そうした人たちを中心に政策を決めたことが定着して現在に至ります。エリート層は庶民の生活レベルはわかりません。加えて、最近の国会議員は二世、三世が増えています。当然、両親や祖父母が議員だった人は都市部で豊かな環境で育った人が多いため、やはり私たちの生活に思いを馳せることはできません。そのため、国民の苦しみを理解できず、適切な政策を検討することさえないのです」

このまま国会議員がエリート出身の議員、二世議員ばかりになってしまうことはリスクが高いのかもしれない。国会にこそ多様性を持って、そこにさまざまな人材を送り込む必要がありそうだ。

支持率アップのための最適解

他にも、与党議員は国民を舐めていることが大きいと安藤氏は指摘。その原因として自身の議員時代を振り返りながら口にする。

「私が議員だったころを考えると、頭の中が選挙でいっぱいいっぱいの与党議員が多かったです。時間をかけて国民のためになる政策を地道に議論するより、それっぽいきれいごとをいったり、アメリカの偉い人と一緒に写真を撮ったりなどしたほうが票につながると考えています。その手法で今日まで政権を維持しているため、その傾向が変わることはないでしょう」

4月中旬に日米首脳会談のためにアメリカを訪れ、その後バイデン大統領とのツーショットを自身のSNSに投稿していた岸田首相。その“成果”なのか、朝日新聞が4月20~21日に実施した世論調査によると、内閣支持率は26%(3月調査22%)と微増した。

安藤氏が指摘する通り、能登半島地震の被災地に行ったり、物価高に苦しむ国民を救うための政策を議論したりするよりも、外国人のビッグネームと一緒に写真を撮るほうが支持率アップにつながるのだという。

自民党政権を放置することの危険性

安藤氏は自民党政権が国民を舐め続けている現状を、今後も放置することを危険視している。

「自民党は憲法改正を進めており、その中で“緊急事態条項”を憲法に入れようとしています。緊急事態条項が設けられた場合、戦争や災害などの緊急事態において、国会や裁判所の承認なしに法律と同じ力を持つ政令を出せるようになります。ただの政令ではなく、財産権や移動の自由といった国民の権利を制限する強い政令を出すことも可能です。

さらには、選挙を停止して政権を永続的に維持したりなど、強力な権限が耐えられるため、選挙で政権を倒すことさえ難しくなります。『緊急事態条項は海外でも珍しくない』という声もありますが、今の自民党政権下で緊急事態条項が設置されると、地獄のような未来がやってくるでしょう」

オンライン署名の影響力

いかに現政権を放置することが危険なのかがわかった。しかし、国民の猛反対を押し切ってインボイス制度が施行されたことを思えば、国民の声だけでは政府を動かすことが難しいように思われる。どうすれば政府は国民の声を聞くようになるのだろうか。

「オンライン署名はイマイチ実態が見えないために、それこそ政府が舐めている印象を受けます。やはりデモのように目に見えるかたちで、政府に異を唱えるアクションは有効です。とはいえ、オンライン署名も徐々に影響力を持つようになってはいます。
だからこそ、岸田首相の事務所は当初は署名の受け取りを拒否していたものの、最終的には直接受け取りました。オンライン署名で異議を唱える、ということを継続することにより、政府の暴走を止める選択肢を一つ増やすことができます」

SNSで声を上げたり、オンライン署名をチェックしたりなど、政府に舐められない国民にならないと未来は必ずしも明るくない。

取材・文/望月悠木

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