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「友だちの輪」誕生のきっかけにあの世界的巨匠 ハプニングの宝庫「笑っていいとも!」の魅力

東洋経済オンライン / 2024年3月28日 14時0分

「生放送単独司会世界最高記録」としてギネスブックに登録され、認定書を手にする「笑っていいとも!」のタモリさん。このあと2014年にも記録を達成している=2002年12月24日午後、東京・新宿の「スタジオアルタ」(写真:共同通信)

1982年から2014年まで約32年間にわたり放送された国民的人気テレビ番組『笑っていいとも!』。グランドフィナーレから3月31日で10年を迎える今、同番組について社会学者で文筆家の太田省一さんが振り返ります(本稿は、太田さんの新著『「笑っていいとも!」とその時代』から一部を抜粋、再編集したものです)。

「友だちの輪」誕生のきっかけに坂本龍一

「笑っていいとも!」の代名詞「テレフォンショッキング」から生まれた流行が、「友だちの輪」だった。

【画像で見る】「笑っていいとも!」が達成したギネス記録とは?

「いいともー!」があらかじめ番組によって用意されていたフレーズだったのに対し、こちらは思わぬかたちで生まれたものだった。

誕生のきっかけとなったのは、1982年11月17日、ミュージシャンの坂本龍一が出演したときのことである。

この日、JALのマークの話題になった。そのマークは、鶴の広げた翼が両端で接し、丸をつくるようなデザイン。坂本龍一は、その意味が「世界に広げよう、友だちの輪」なのだと言い、自ら両手で輪をつくってみせた。

「へえー」と感心したタモリも、その真似をする。すると、客席から「輪!」と声がかかった。それにすかさず反応したタモリは、観客も巻き込んで「世界に広げよう、友だちの輪」「輪!」と復唱した。

その後、タモリ(ゲストの場合もある)が、「テレフォンショッキング」のリレー方式に引っかけて「友だちの友だちはみな友だちだ。世界に広げよう友だちの〜」と言い、最後にタモリと観客が「輪!」とポーズつきで唱和するのが毎度のお約束になった。

このエピソードからは、とっさに坂本の真似をし、さらに観客との「コール&レスポンス」に持っていったタモリの反射神経と嗅覚の鋭さが光る。

その場のノリを敏感に感じ取り、ひとつの遊びのかたちに持っていく。でたらめ外国語やイグアナの物真似など怪しげな芸を連発し「密室芸人」と呼ばれた時代、あるいはそれ以前からタモリが培ってきた資質である。

ただこの場合、観客の当意即妙さも見逃せない。坂本龍一とタモリが輪のポーズをしたときに、即座に観客が「輪!」とかぶせなければ、「友だちの輪」は生まれなかったに違いない。

隙あらば参加してやろうという観客の前のめりの姿勢、積極さが、このフレーズを生んだのである。その意味で、「友だちの輪」は、タモリと観客の一種の共同作業によって生まれたものだった。

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