激減した「サブウェイ」じわり復活している事情 意外と知られていない「パンへのこだわり」
東洋経済オンライン / 2024年4月27日 13時20分
「お客様の好みを聞きながら仕上げる従来の方式はサブウェイの特徴ではあるが、一方でハードルが高いと感じる方もいる。2022年からテスト的に導入を始め、現在までに19店舗まで増えてきた」(土井氏)
筆者自身も、サブウェイでの注文時に好みを伝えることや、サンドイッチが作成されていく様子を見守りながらショーケースのそばをじりじりと進む過程に居心地の悪さを感じていた一人である。
例えば行きつけの魚屋や八百屋でなら、ものの売り買い以外のコミュニケーションも発生するかもしれないが、チェーン店、しかもあまり足を運ばない店では難しい。
自分であれば、迷わずタッチパネルでの注文を選ぶだろう。
店、つまりフランチャイズオーナーにとってもメリット・デメリット双方があるようだ。
メリットはなんと言っても、人手不足対策、人材コストの低減だ。
一方で、機械のため融通が利きにくいというデメリットがある。例えば「サンドイッチをカットしてほしい」と思っても、現在のところタッチパネルでは注文できない。もっとも、こうした細かい点については今後現場からの声を集め、改善していくという。英語以外の中国語、韓国語にも客の要望に合わせて対応する予定だ。
また、「サブウェイの良さ」がなくなってしまうと感じているオーナーもいる。
ただ、何がブランドの良さなのかは、客とのコミュニケーションの中で定まっていくものだ。その過程で変化させていくもの、堅持するものを見極めることが、長く続くブランドには求められる。
サブウェイでは2024年内に約20店舗の出店を計画し、今後5年間で300店舗まで広げていく考えだ。人手不足の今、人材面のメリットが大きいセルフオーダーシステムはそのための強力な武器となる。
セルフオーダーシステムの普及により懸念されるものがあるとすれば、客との直接の接点が減ることにより、客との間に1枚、壁のようなものができてしまうことだ。サービス品質の低下を招くリスクもある。
例えばコロナ禍に増えた宅配では、店舗が客と顔を合わせないため、商品のミスが起こりやすくなり、客のクレームが店に届きにくいなどの弊害が指摘された。
デジタル化の一方で、サービスを補える何かを見つけられるかが、今後長期的に伸び続けられるかのカギになるのではないだろうか。
圓岡 志麻:フリーライター
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