モノ言う株主・丸木氏が語る「日本企業の経営問題」 見過ごされる「ガバナンスウォッシュ」とは
東洋経済オンライン / 2024年5月7日 20時0分
新NISAが始まり、株価はバブル期の最高値を超え、投資への関心の裾野が広がっています。しかし、世界と比べたとき日本企業は多くの課題を抱えています。例えば、過剰な内部留保、研究開発や新規事業への消極姿勢、はたまた親方日の丸からの天下りなどのガバナンス問題などなど。
そんな内向きな経営者に向けて、「社長はおやめになったほうがいい」と直言し続けるのは、ストラテジックキャピタル代表の丸木強氏。国内アクティビスト(モノ言う株主)の代表格として、株式市場と企業経営の本質を喝破する言動が注目を集めています。
そんな同氏が自らの投資哲学を明かした初めての著書『「モノ言う株主」の株式市場原論』より、一部抜粋・編集してお届けします。
「コーポレートガバナンス」の真意
しばらく前から、「コーポレートガバナンス」という言葉をよく聞くようになったと思います。しかし、その真意を理解している人はまだ少数かもしれません。
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直訳すれば「企業統治」。それだけではわかりにくいでしょう。私は、「株式会社の目的を達成するための仕組み・規律」と理解しています。
金融庁と東京証券取引所は2015年に「コーポレートガバナンス・コード」を導入しました。ここでは「会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」と定義されています。
私としては、この定義について多少の不満はありますが、コードとして定められているさまざまな原則は高く評価しています。
その内容について、ここで1つずつ説明はしませんが、日本の上場企業をあるべき姿に近づける規範を示した意義は大きいと思います。2018年の改訂では「資本コスト」の概念が導入され、2021年にはESG(環境・社会・ガバナンス)に関するコードも追加されました。
「ESG投資」という言葉があるように、もともとESGは投資家目線の概念でした。
企業が中長期的に成長を持続するには、これらの要素が不可欠というわけです。いつしか社会全体も、企業に対してこれらを期待するようになりました。時代の流れとして当然で、特に上場企業にとってはアピールの場でもあります。
ESGへの取り組みを“偽装”する企業
ところが、なかにはESGへの取り組みを“偽装”する企業も散見されます。
とりわけ多いのが環境分野で、特に配慮したわけではないのに商品パッケージや広告に自然の画像や映像を使ったり、環境に負荷をかけていることを隠すために環境保全活動を強調したり等々が典型例。これを「グリーンウォッシュ」といいます。
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