「ミニ腸」を用いて新型コロナウイルスの増殖性、病原性を検証
Digital PR Platform / 2024年3月28日 10時0分
本研究成果は、2024年3月15日に米国消化器病学会の学会誌「Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology (CMGH)」にオンライン掲載されました。
【プレスリリースのポイント】
・iPS細胞から創り出した「ミニ腸」にSARS-CoV-2を感染させ、増殖性、細胞傷害性、持続感染性を
検証しました。
・BA.2.75に感染したミニ腸では、炎症性サイトカインが顕著に分泌され、腸における強い細胞傷害
性が示唆されました。
・デルタ株、BA.2.75では、30日を超える長期間にわたって、ミニ腸での持続感染が確認されました。
・インターフェロン(IFN)-λ2を投与すると、短期および長期にわたってデルタ株やBA.2.75の増殖を
抑制させることができました。IFN-λ2は、SARS-CoV-2の腸への感染から宿主を守る役割があると考
えられます。
[画像3]https://digitalpr.jp/simg/1706/85623/600_243_202403271528146603bc7e0e03a.jpg
【図3 SARS-CoV-2持続感染におけるIFN-λ2の効果】
【研究背景】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、全世界で約7億人の罹患者と約700万人の死者を出し、原因ウイルスSARS-CoV-2の変異株の度重なる出現によりパンデミックが長期化しました。SARS-CoV-2は気道や肺といった呼吸器以外にもさまざまな臓器に感染し、いわゆるコロナ後遺症を引き起こすことが分かってきています。後遺症の治療には対症療法しかなく、その治療法や予防法の開発は喫緊の課題です。ほとんどの軽症COVID-19患者の呼吸器からは感染後約2週間でウイルスが検出されなくなりますが、一部の患者の便から感染後数ヶ月にわたってウイルスが検出されることが報告され、近年、SARS-CoV-2の持続的な感染が腸で起こる可能性が指摘されています(Natarajan et al, Med, 2022)。また、ウイルスが長期にわたって腸から検出された人の多くが、後遺症を発症したとする報告もあります(Zollner et al, Gastroenterology, 2022)。しかし、ヒトの腸におけるウイルス株間での感染動態がどのように変化しているのかについてはこれまで知見がありませんでした。
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