生体に近いヒトiPS細胞由来小腸上皮細胞モデルで、ブルガリア菌とサーモフィラス菌による腸管バリア機能強化を確認
共同通信PRワイヤー / 2024年4月24日 14時0分
本評価系を乳酸菌で初めて活用し、腸粘膜を保護することを示唆
株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)および名古屋市立大学 大学院薬学研究科 臨床薬学分野の松永 民秀特任教授らの研究グループは、最新技術を活用した生体に近い小腸上皮細胞モデルである「ヒトiPS細胞由来二次元腸管オルガノイド(以下、hi-IOs)」を用いて生理作用評価系を確立し、また、本評価系において、明治保有の発酵乳スターター乳酸菌「Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus 2038株(以下、L. bulgaricus 2038株)、Streptococcus thermophilus 1131株(以下、S. thermophilus 1131株)」が腸管バリア機能※1を強化することを確認し、腸粘膜を保護することが示唆されました。
本研究成果は2024年3月28日~31日に開催された日本薬学会第144年会にて発表しました。
【研究成果の概要】
①hi-IOsを使用し、より生体に近い小腸上皮細胞の生理作用評価系を確立しました。
②炎症性サイトカイン※2により細菌由来の毒素などの異物を模した物質(高分子物質)の腸管透過※3が促進されましたが、両菌株の添加により抑制されることを確認しました。
③炎症性サイトカインにより栄養素吸収や粘液産生の役割を果たす細胞のマーカー遺伝子の発現が低下しましたが、両菌株の添加により抑制されることを確認しました。また、粘液産生量が増加することが示唆されました。
④炎症性サイトカインにより炎症反応が促進されましたが、両菌株の添加により抑制されることが示唆されました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404239895-O5-lv25zJhk】 図1. (A)ヒト小腸上皮細胞の構造、(B)本研究で明らかになった乳酸菌による作用の模式図
小腸はそれぞれ役割の異なる多種の細胞が存在することで恒常性を維持しています。また、効率的に水分や栄養素を吸収するための絨毛や、全ての小腸上皮細胞の供給源である幹細胞などが存在する陰窩(いんか)で構成されています (A)。本研究では、ヒトiPS細胞由来二次元腸管オルガノイド(hi-IOs)を使用した評価系において、炎症性サイトカインにより誘導された腸管バリアの破壊などがL. bulgaricus 2038株、S. thermophilus 1131株の作用により改善されることを確認しました (B)。
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