本土から離れた「離島」 クルマは所有できる? 車検や整備はどうしてる!? 海に囲まれた「島」ならではの事情とは
くるまのニュース / 2024年3月28日 9時10分
大小それぞれの島が存在する日本ですが、本土から遠く離れた離島では、クルマの購入だけでなく車検や整備はどうしているのでしょうか。
■「離島」のクルマ事情 どうなってる?
日本は海に囲まれた島国です。北海道や本州、四国、九州以外にも、400島もの有人島があり、多くの人々が離島に住んでいます。
そのような離島では、クルマのディーラーがないこともしばしば多いのです。クルマの購入や車検は、どのように対応しているのでしょうか。
鹿児島県本土の南に位置し、竹島・硫黄島・黒島の3島で構成されている鹿児島県三島村役場の担当者は、離島のクルマ事情について以下のように話します。
「島には(クルマの)購入場所がないため、鹿児島県本土で購入し、フェリーで島まで運んできてもらっています」
本土で購入してフェリーで輸送することは容易に予想できますが、なかには、クルマを直接見ずに購入する人もいるようです。
たとえば、中古車を購入する場合、中古車サイトで本土の港近辺の中古車店を中心に検索し、目当てのクルマを見つけます。そのまま購入し、港まで送ってもらい、フェリーで離島まで輸送するのです。
ドライバーは乗船しないで、クルマのみをフェリーに積んで輸送することを「無人航送」と呼び、各フェリー会社では車長に応じて金額を設定しています。
本土の港近辺にある中古車店も、こうした方法で離島へ販売することに慣れている店が多く、無人航送料金に数千円をプラスするだけで対応してくれることも少なくありません。
また、離島でクルマが欲しいときは、周りの人に声をかけておくと、どこからともなく譲り手が現れるということもあるようです。格安もしくは無料で譲ってくれたという人もいます。
こうした助け合いでクルマの売買が成り立っているのも、深いコミュニティが形成されている離島ならではと言えます。
※ ※ ※
なお、離島で輸入車を目にすることはほとんどないとされています。旅行者が一時的に本土から持ち込むことはあるようですが、離島に住む人々が輸入車を維持するのは難しいためです。
なぜならば、離島で輸入車を修理する際、海外メーカーに対応している故障診断機を備えている整備工場はほとんどなく、クルマの故障に対応できないことも少なくないためです。
もし故障が起こって部品交換するとなっても、部品を自身で入手して整備工場に持ち込んで対応してもらうことになり、整備に苦労することが予想できます。
そうしたことから離島で輸入車に乗り続けるのは困難で、移住時に持ち込んだとしても、車検といったタイミングで比較的維持の楽な国産車に乗り換えるケースが多いようです。
■車検ごとに「フェリー」で輸送!? 離島ならではの問題とは
クルマを本土の港近辺の中古車ショップで購入することが多いという離島の人々。では、車検も本土まで輸送して受けているのでしょうか。
前出の三島村役場の担当者は、離島に住む人々の車検の受け方について以下のように話します。
「島内に整備工場がないため、フェリーで島から運び、本土の整備工場で車検をおこなっています。
輸送料金は、フェリーの大きさによって異なりますが、軽自動車で往復3万9000円ほどかかります。2022年度から補助金の制度が始まり、島民の方々に多くご利用していただいています」
例えば鹿児島県には、三島村とは別の離島が複数あります。本土への運送料金が最も高いのが、十島村の諏訪之瀬島と平島で、往復するのに普通自動車の場合は約7万5000円かかるようです。
こうした状況を考慮して、離島に住む人々からはフェリー輸送料金の負担軽減を求める声が上がっていることから、鹿児島県はクルマ輸送料金に関する補助金制度を開始しました。
これにより、車検だけでなく離島ではできない整備でも、本土に持ち込んで点検や整備することが容易になっています。
離島ならではの特殊な事情が多い(画像はイメージです)
このように離島では本土とは違う独特なクルマ事情がありますが、他にも離島ならではの事例のひとつに「ナンバープレートを装着していないクルマが走行している」という問題があります。
西日本のある離島で、ナンバープレートが付いていないクルマが公道を走っているところを目撃したということがSNSで話題になったことがあります。
しかも、ナンバープレートが付いていないクルマを複数台発見されたといい、そのクルマは軽トラックが多いとのこと。
しかし、ナンバープレートが付いていないクルマは、正式に登録や届け出されていないということになり、公道を走ることは離島であっても認められていません。当然道路運送車両法違反(無車検・無保険走行)に抵触する重大な違反行為になります。
三島村の担当者は「現在、農器具以外でナンバープレートが付いていないクルマが島内を走っていることはございません」と話しており、すべての離島でこうした問題が発生しているわけではないようですが、一部では取り締まりが少ないからといって登録を受けないクルマも存在しているようです。
離島に住む場合でも、正しく登録や届け出を済ませるとともに、保険に加入し、車検や整備もしっかりと実施することが大切です。
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