「デパートの紙袋」や「ジャムの空き瓶」はすぐ捨てなさい…「お金が貯まらない家」の残念すぎる共通点
プレジデントオンライン / 2024年4月26日 16時15分
※本稿は、下村志保美『「お金が貯まる家」にはものが少ない』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
■「安くてお得」がスペースを圧迫する
私はいつもお客様に「片づけは、ご自身にとって大切なものを見つける最高のトレーニングなんですよ」とお伝えしています。それは、お金が貯まることにも直結しています。「どういうこと?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
私は片づけとは、「使っているもの」と「使っていないもの」、「好きなもの」と「好きじゃないもの」を判断する行為だと考えています。部屋中がものであふれているお客様の相談を受けていると、皆さん、口をそろえて「でも下村さん、これ安かったんですよ~」、「これはすっごくお得に買えたものなんです」とおっしゃいます。
“安い”&“お得”。確かにいい言葉ですよね。私も決して嫌いではありません(笑)。でも“安くてお得”は生活の豊かさと必ずしも直結しているとは限りません。むしろ“安くてお得”だからと買ったグッズが部屋中にあふれかえっていたら……?
ものを置くスペースで部屋は狭くなり、ちまちまと安いものを買うだけで、お金は出ていくばかりです。いつの間にか“高くて不便の塊”に転じてはいないでしょうか?
■「物置部屋」があると555万円の損?
現代人の暮らしの中で、一番お金がかかるのは場所代です。
ここで、必要ではないけれども、なんとなく部屋を埋めつくしているもののコストがどれぐらいになるのか考えてみましょう。
例えばあなたが70平米・4000万円で購入した3LDKのマンションに住んでいるとします。そのうち6畳分の一部屋を「使っていないもの、整理しきれていないもの」の置き場所に使っているとしたら……?
4000万円(スペースの総価格)÷70m2(総スペース)=約57万円(広さに対する価格)。57万円×9.72m2(6畳分のスペース)=約555万円。つまり555万円分を、要らないものに費やしていることになります。
「6畳一間が納戸になっていると555万円の損失」というショッキングな事実を心に留めていただきたいと思います。
■最初から完璧を目指さなくてもOK
スッキリと片づいた部屋に住んで、なおかつ経済的にも余裕がある。誰でも、そんな暮らしを実現させたいですよね。でもふと身の回りに目をやれば、なんとなくごちゃっと散らかったリビング、家族のよくわからない持ち物であふれた個室、洗面台の下にはいつ買ったのかも忘れた洗剤や掃除グッズが大量に入っている……など、理想と現実との乖離にため息をついている方も多いのではないかと思います。
貯金も同じ。「1年間で100万円貯金しよう!」と思いつつも、実現できずに早○年、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。私はまず、「片づけと貯金のコツとは、最初から完璧を目指さないこと」だと思っています。
片づけたい、貯金したいと思う心がけはとても尊いものです。でもその理想ばかりが先走り、ご自身の中で「こうあるべき」というイメージが固まりすぎてしまうと、完璧にやり遂げられない現実に凹み、やる気がどんどん落ちていってしまいがち。
そう、片づけと貯金が苦手な方は、実は真面目すぎる傾向があるのです。ご自身が思い描いている「最高にきれいでいられる暮らし方」、「貯金の仕方」を少しだけゆるめて全体をざっくり眺め、別の角度から見直してみてはどうでしょう。
■「お客様用布団」を常備する必要はない
私がお客様から要る・要らないの相談を受けるもののひとつに「来客用の布団」があります。確かに一昔前は、お客様をおもてなしする家財道具のひとつとして、来客用布団を新居に備える習慣などもあったと思います。
しかし暮らし方が変わり、ビジネスホテルなども進化した今、親戚同士の集まりなどでも、人の家に泊まるケースはかなりレア。「一年に2~3回、家族が帰省する」、「実家の両親が定期的にやってくる」ために、生真面目に用意する必要はありません。
その時だけ布団をレンタルすれば、部屋のスペースも、手入れする手間も省けますし、何より布団自体も昔より軽く、使いやすいものに進化しています。お金持ちはこうしたサービスをうまく利用しているのです。
■過剰なストック=場所代にお金を使っている
玄関近くの納戸や物置、庭の倉庫などに溜め込みやすいものについてもお話しします。
ほんの数年前までは買い物の際にタダでもらえていた、スーパーやコンビニのレジ袋。2020年に有料化し、“なんとなく貴重なもの”に感じる人もいるかと思います。つまり捨てづらく、溜め込みがちになっているということです。
「これは子どもの保育園のオムツ袋用に取っておいているんです。絶対に使うものだからいいですよね?」と、お客様から段ボール4箱分のレジ袋を見せられて、ビックリしたことがあります。
もちろん、レジ袋を再利用するのは素晴らしい発想です。ただし、いくらオムツ袋に使い回したいとはいえ、段ボール4箱分も用意しておくのは、多すぎますよね。過剰なストックは、場所代にお金を払っているのと同じ。
収納するものが段ボールならば、まだいいのかもしれません。最近は「レジ袋を収納するためのグッズ」もたくさん売っていますよね。それらのグッズが悪いとは思いませんが、数多く持ちすぎると、これもまた、場所代を払うために、さらにお金を使っている……と、節約や貯金とは正反対の行動になってしまいます。
そもそもレジ袋は、買ったとしてもそれほど高いものではありません。必要なときに必要なだけレジ袋を買うコストと、溜め込んだものを保管するためのコスト。長い目で見てどちらを優先すべきかを考えていただきたいと思います。
■“何もない空間”があるのは素晴らしい
スペースについて、もう少し一緒に考えてみましょう。あなたのお宅には「余白」と呼べるような、“何もない空間”はありますか? クローゼットの中、玄関、リビング&ダイニング、浴室……どこでも構いません。とにかくものが何も置いてない場所です。
「うちは玄関かな。靴や小物類が散らばっていなくてスッキリと片づいている」、「押し入れの天袋の中はスカスカだけど、ものを詰め込む予定はない」……などがイメージできた方、素晴らしいです。
逆に「クローゼットのすき間が10cm空いている。何を収納しよう?」、「リビングの空間にまだ余裕があるから、キャビネットを買って小物を入れようかな」と、考えがちな人はちょっと危険。たとえ新たに収納できそうなスペースがあるとしても、そこはあえて空白のままにしてみてほしいのです。
■快適で、「お金が貯まる家」への近道
私は「部屋の余白は心の余白」と思っています。たくさんものを持っていても、そのものが別のものを隠してしまったり、使わないまま保存したりして、所持していることすら忘れてしまう。
余白があると「もったいないから」、「せっかくの自宅にデッドスペースを作りたくない」と収納を増やそうとする方が多いですが、こういった“死蔵品”を作り出すスペースこそが、まさに本当の意味でのデッドスペースになるのではないでしょうか。そんなデッドスペースを少しでも減らすことが、快適で、しかも貯まる家への近道です。
ちなみに私の自宅のリビングスペースも余白多めを心がけているので、「ちょっと体を動かしたいな」と思った時に、好きなところにヨガマットを敷き、のびのびとストレッチをすることが可能です。
また家全体でも、ものを床に直置きしないようにしているので、掃除に対する心のハードルが低いです。「よ~し、今日も運動代わりにササッとやるか~!」と、エクササイズ気分で楽しみながら家事をこなしていくこともできます。
本当の意味でのデッドスペースを減らすだけで、家事がラクになって自分の時間が増え、心身共に健やかになり、見た目もスッキリ。余白って本当にいいことずくめです。
■空き瓶や空き箱、紙袋は結局要らない
私はこれまでに千人以上ものお客様の家へお邪魔し、一緒に片づけをしてきました。その中で、多くのお客様が「これは使えそうだから」と取っておいたにもかかわらず、最終的には手放すことになったものの共通点が見えてきました。
「取っておいたけど結局要らなかった」ものの代表例は、次のようなものです。
・ジャムが入っていた空き瓶(何かを入れられそうと取っておきがち)
・空き箱(収納を整える時の、間仕切りとして使えると思ってしまう)
・フラワーアレンジメントなどについてきたカゴ(何かに転用できそう)
・紙袋、エコバッグ、ペットボトルケース(知らぬ間に増殖しがち)
・ボールペン、付箋、お菓子のおまけなど(趣味じゃないけど捨てるのはもったいない)
・ラッピング用品(いつか使うかもと思っているうちに、クシャクシャに)
■収納に場所を取るものは大胆に処分を
思い当たる節はあるでしょうか? コロナ禍を経た現在は、いろいろなタイプの消毒用アルコール、大量に買ったけど使い心地が悪くてほとんど使っていないマスク、外出時用のマスクケースも多いです。
マグカップやタンブラーも、最近多い「なんとなく取っておいているもの」。あるお宅のキッチンからは、10本近くのタンブラーが出てきたことが! しかもそのうちの何本かは使い倒したのか穴が開いていて……。「もう外で持ち歩けないし、穴が開いていたら飲み物を入れられないですよね?」と、お客様と笑い合ってしまったことがあります。
これらの共通点は、「ものとしての価値はあるけれども、自分の中ではもう使わない・使う機会が来ない」ものです。しかも収納に場所を取ってしまうものばかり。
普通に生活をしているだけでも、ものは勝手に増えていき、時間の経過とともに劣化して使えなくなっていきます。だからこそ時には見直し、大胆に処分することが必要になるのです。
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家計アドバイザー
1968年、愛媛県松山市生まれ。「空間・お金・心」の3つを整えることで、忙しい女性をサポートする「PRECIOUS DAYS」を主宰。2014年に片づけのプロとして起業。訪問やオンラインでの整理収納レッスンをはじめ、各種講演やコンサルティング、ESSE onlineでの記事執筆、家計アドバイザーとしての活動など、多岐にわたって活躍する。著書に『『「お金が貯まる家」にはものが少ない』(扶桑社刊)、『片づけのプロが教える心地いい暮らしの整え方』(三笠書房刊)がある。
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(家計アドバイザー 下村 志保美)
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