「ブラザー参戦」でもファンドを頼るローランドDG かつての親会社の非公開化でも登場のタイヨウ
東洋経済オンライン / 2024年3月29日 7時40分
投資ファンドのタイヨウ・パシフィック・パートナーズが、100%支配を目指して2月13日から実施している、サインプリンター大手のローランド ディー.ジー.(以下、DG)株式のTOB(株式公開買い付け)。
【経緯】ローランドDGはブラザー工業からのTOB提案を過去に2回拒否
建前上はDGの田部耕平社長によるMBO(経営陣が参加する買収)となっているが、田部社長が非公開後に出資するのはわずか0.25~0.5%程度の予定。事実上タイヨウのスクイーズアウト(強制買い取り)による完全子会社化である。
当初は波乱なく終わるかに見えたが、3月13日にブラザー工業がDG側の同意を得ることなく「対抗TOB」を宣言。一気に雲行きが怪しくなってきた。
TOB価格を修正しなかったタイヨウ
ブラザーはタイヨウによるTOBが成立していないことを条件に、対抗TOBを仕掛ける。ブラザーからするとDGが強みを持つ産業印刷領域を補強できる。
TOB価格はタイヨウの5035円に対し、ブラザーは5200円を提示。競合状況次第ではさらなる引き上げも示唆したからか、DGの株価はブラザーの参戦宣言翌日の3月14日以降、5200円を大きく上回る水準にハネ上がり、3月21日には年初来高値5540円をつけた。
タイヨウは3月27日、この日までとしていたTOB期間を4月12日まで延長した。しかし、TOB価格は修正しなかった。株価がTOB価格を上回っている限り成立はほぼないにもかかわらず、である。
一方のDGは必要な開示をしているとはいえ沈黙を守っている。2月のタイヨウによるTOB開始と同時に、個別の取材対応を停止。予定されていた決算説明会すら中止するほどの徹底ぶりだ。
真意は確認のしようがないが、タイヨウのTOB開始と同時にDGが公表した意見表明報告書の文面は、昨年9月にブラザーから買収提案を受けたため、DG側がタイヨウに救いを求めて駆け込んだように読める。
買収提案を受けた場合、取締役会は、取締役会とは別に特別委員会を設置し、特別委は会社側とは異なるLA(リーガルアドバイザー)、FA(フィナンシャルアドバイザー)を雇うこと――。
昨年8月に経済産業省が公表した「企業買収における行動指針」(以下、指針)はそう推奨している。買収提案を受けた企業は、望まない相手からの提案でも真摯に検討すべしとしている。
だが、DGは特別委を設置しただけで、その特別委は会社側とは別のLAもFAも雇わなかった。そればかりか、ブラザーとTOB価格の交渉すらしないままタイヨウによるTOBに突入している。特別委がタイヨウならびにブラザーとの交渉に乗り出したのは、ブラザーの参戦宣言を受けてからだ。
特別委員会の独自の動きが見えない
この記事に関連するニュース
-
ローランドDGのMBO、TOB価格1株5370円に引き上げ
ロイター / 2024年4月26日 17時43分
-
ブラザーが価値向上策示せば、TOBに応じる可能性=タイヨウCEO
ロイター / 2024年4月19日 12時18分
-
政府系ファンドにPE投資認めるべきでない=ノルウェー政府
ロイター / 2024年4月15日 14時10分
-
「同意なきTOB」が増加、買収ターゲットになりやすい企業の特色とは
トウシル / 2024年4月13日 8時0分
-
【3月M&Aサマリー】118件、6カ月連続で前年同月上回る
PR TIMES / 2024年4月11日 12時15分
ランキング
-
1祝日という"官製のみんな一斉休日"が日本人を苦しめる…精神科医警鐘「連休でストレスが増強される」本末転倒
プレジデントオンライン / 2024年4月27日 8時15分
-
2山梨でブドウなら「1日2時間労働で年収450万円」が可能…私が実践している「農FIRE」のススメ
プレジデントオンライン / 2024年4月27日 10時15分
-
3なぜホンダ初の量産EV「ホンダe」はたった3年で生産終了になったのか…「欧州ジャーナリストの絶賛」の裏側
プレジデントオンライン / 2024年4月27日 10時15分
-
4NY市場、円安加速158円台 対ユーロも最安値に迫る
共同通信 / 2024年4月27日 17時42分
-
5GW初日 大規模な混雑はじまる! 東名・新東名では午前中から夕方まで渋滞【4月27日の渋滞予測】
乗りものニュース / 2024年4月27日 7時12分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください