「今の米国株はITバブル時に近い」は本当だろうか FRBへの株式市場の信認は簡単には崩れない
東洋経済オンライン / 2024年3月31日 21時0分
このため、前述したユーフォリアを伴う1990年代後半のITブーム時のような、株式市場の企業価値評価の上昇が今後起きるかについて、筆者は懐疑的である。現在の予想PERは21倍台まで高まっているが、AIなどの新技術や半導体需要拡大への期待だけで、さらなるPER上昇を期待するのは難しいのではないか。
ただし、この想定は、今後のアメリカ企業の投資支出行動によって変わりうる。メインシナリオではないが、これまで慎重だった同国企業の投資姿勢が何らかの要因で積極化して、企業の設備投資が増えて、1990年代後半同様、経済全体の成長を高めるシナリオも決して無視できない。もし、このシナリオが意識された場合は、米国株市場は年初(1~3月)のペースでの上昇が年末まで続き、2023年を超える株高となりうる。
筆者は、このサプライズシナリオが起きるかどうかを考えるうえで、同国企業の投資行動を示す耐久財受注などの大幅な回復が示されるか否かに注目している。
(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません。当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
村上 尚己:エコノミスト
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